雇用保険法の「移転費」をめぐり厚生労働省が同性のパートナー分を不支給としたのは違法だとして大村市の同性カップルが国に対し判断の取り消しなどを求めている裁判の第1回口頭弁論が開かれ、国側は争う構えを示しました。
松浦慶太さん「僕たちは紛れもなく事実婚のカップルです。国だけが認めてくれていないんです。その根拠が一体何なのか問うていきたいと思っております」

訴えを起こしているのは大村市に住む藤山裕太郎さんと松浦慶太さんです。
2人は去年3月、兵庫県から大村市に移住し、松浦さんを《世帯主》、藤山さんを《夫(未届)》と記した住民票を市から交付されています。
松浦さんは去年5月雇用保険法に基づく「移転費」を藤山さんを含め二人分申請しましたが、厚生労働省は藤山さん分を不支給としています。
「移転費」は就業などのために住所を変更する際に支給されるもので、異性間の事実婚ではパートナーにも支給されますが、訴状などによりますと、厚労省は藤山さん不支給の理由について「同性間のカップルが事実婚関係であるとする判断基準が不明確」などと説明。

これを受け2人は「不平等」などとして国に対し、厚労省の判断の取り消しと損害賠償の支払いなどを求めています。

8日、長崎地裁で開かれた第1回口頭弁論で松浦さんと藤山さんはこれまでの経緯や思いを述べました。
一方、原告側の弁護士によりますと被告の国側は請求棄却を求めていて、次回以降の弁論で主張を明らかにすると見られています。

松浦慶太さん「安心して生活を送りたいだけ、それだけなんですよね。そのためには国に僕たちの関係を事実婚関係だと、事実を認めてもらうこと、そのことを求めています」
藤山裕太郎さん「自分たちの裁判が同性愛とか社会保障で漏れている人たちのなにか1つになれば良いなと思います」
次回の口頭弁論は11月26日に開かれる予定です。