今季の女子100mハードルは、多くの選手が12秒台をマークするなど、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。史上まれに見る大混戦の中、12秒69の日本記録を持つ福部真子(29、日本建設工業)は菊池病という病と戦い、もがき苦しみながらも、最後の選考レースで参加標準記録を突破、9月13日に開幕する東京2025世界陸上代表の座を掴んだ。

福部真子 ギリギリで掴んだ東京世界陸上の切符

福部は昨年11月に「菊池病」と診断された。リンパ節が腫れて高熱が出る原因不明の病だ。

福部真子選手

東京世界陸上の出場資格を得る上で、記録の有効期間が8月24日に迫る中、万全でない体調でレースへの参戦を続けたが、なかなか結果は出なかった。8月9日のオールスターナイト陸上では参加標準記録(12秒73)にわずか0秒01届かず、レース後に苦しい胸の内を明かした。

福部:試合に出れば出るほど体が壊れていくのを感じざるをえなくて。菊池病になっていなかったら。病気にさえなっていなかったら、練習して今頃、世界にチャレンジできていたのかな。

8月16日のアスリートナイトゲームズ。福部は、参加標準突破をかけて最後のレースに挑んだ。

前日も37度3分の熱があったという福部。午後3時25分から始まった予選では、12秒83の組1着でフィニッシュし決勝へ進んだ。約3時間半後に行われたファイナル。福部はスタートから飛び出すと、一度もトップを譲ることなく1着でフィニッシュした。タイムは12秒73。ラストチャンスで見事参加標準をクリアした。

福部:難しい世界陸上になるだろうなっていうのは想像しているので、少しでもいい状態で世界の猛者たちと一緒に戦えるように頑張っていきたい。

苦しみ抜いた末にたどり着いた、2回目の世界陸上へ。

福部:世界陸上が東京であるっていうのを知ってからは、自分の中では逃したくないというか、出たいと思っていました。少しでも万全な状態でスタートラインに立てれば、今シーズンいちの走り、タイムは出てくると思うので、少しでもいい状態でスタートラインに立つことが私の最大の課題かなと思って、そこをクリアできるように準備していきたいと思います。