地域にお産を取り扱う医療機関がない「空白地域」が全国で広がっています。そんな中、広島県神石高原町に初めて、産婦人科医院が開設されました。
9月2日、新たに開院したのは、「神石のたまご産婦人科」です。地元のまちおこし会社「MSERRNT」の誘いを受けた産婦人科の日下剛院長が4月に、神奈川県から家族で移住し、開きました。

助産院も併設された施設内には、診察室のほか、出産のための3つの個室を整備。分娩台を設けず、畳を模した部屋で出産できるのが特徴です。妊娠・出産を切れ目なく支援できるとしています。
神石のたまご産婦人科 日下剛 院長
「安心感とか快適というものがお産の成功にもつながる」

人口7700人余りの神石高原町。高齢化率は50%で、町民の半分が65歳以上の高齢者です。この町の2024年の出生数は21人。これまで町内にお産を取り扱う産婦人科がなかったため、妊婦の多くが車で福山市内に通院していたということです。
内覧会に訪れた子育て世代の町民からは、期待の声もあがっていました。
福山市で出産した人
「陣痛がきてから車で30分くらい、車の中で苦しみながらいくのがつらかったかなと思うので、家の近くでこういった施設ができるのはすごくありがたいです」

町内での産婦人科の開業で若い世代の定住促進も期待されています。
神石のたまご産婦人科 日下剛 院長
「みんなでやっぱり、次の世代を育むという意識を共通して、町として持っていけるなという。コミュニティの絆の原点はお産にあるので、地域の発展につなげたいなと思います」
「神石のたまご産婦人科」では今後、外来も受け入れ、里帰り出産などにも対応したいとしています。