長引く政局不安で後倒しの経済対策

藤森祥平キャスター:
まさに今、嵐の中で政権のかじ取りを行っている石破総理。
まずは目の前の“石破おろし”をどうしのぐか、総裁選前倒しの声にどう向かうかです。2日の参院選の総括で、石破総理の責任は問われないんでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
全体に責任があるという結論になると思われます。

しかし、それとは別に石破さんは挨拶で総理・総裁としての責任を認めるとともに、“重大な発言”をするのではないかと、総理の周辺は言っています。それは「政策課題に目処がついた段階で身の処し方を明らかにしたい」という趣旨の、辞任を示唆するような発言を検討していると。
藤森キャスター:
“辞任を示唆”で止まってしまうと、総裁選を前倒しでやるべしという声はますます強くなりませんか。

TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
党内の構図をよく見ると、石破総理中心の「反安倍派」や「総裁の判断に任せる」グループ、そして石破政権に批判的で総裁選前倒しに積極的な「旧安倍派」や「敗北のけじめをつけるべき」というグループ、合計4つのグループが二手に分かれて対立しています。
石破総理は辞任を示唆することで、「敗北のけじめをつけるべき」と考えるグループを取り込み、総裁選前倒しの議論を収束させようと狙っています。
藤森キャスター:
総裁選前倒しに賛成する署名が8日にも提出を求められていますが?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
石破総理側は、これ自体が急速にしぼむ可能性というか、そういう期待を持っています。
藤森キャスター:
仮に党内の反発の声を抑えても、秋には少数与党での臨時国会を何とか乗り越えなければいけませんが、予算案を成立させて経済対策を打つことは可能なのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
衆議院も参議院も少数与党ですので、予算案も法律案も通りません。かつ今回、森山幹事長が辞任すると言ってますので、野党とのパイプがある森山さんなしではかなり絶望的です。
石破さんからすると「政策課題にめどをつける」というのは、選挙で掲げた“給付金”や野党が求めている“ガソリン減税”を少なくとも成立させて、その上で自分の出処進退について結論を出すということになるのではないかと思います。

藤森キャスター:
つまり、自分のクビを引き換えに何とか経済対策を成し遂げようということですか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
それが果たして党内で評価されるかどうかが、見どころだと思います。
藤森キャスター:
結局は総理がまた変わるとか、総裁選や解散総選挙とか、また政局になるわけですよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
このまま総裁選になれば、組閣から臨時国会とあり予算が通るのが12月となって、給付金もガソリン減税も下手をすると年を越すかも知れません。
物価高に喘ぐ国民からすると、永田町は何をやってるんだという不満が募ってくる可能性が高いですね。
藤森キャスター:
政局ではなく国民生活の荒波をどう凌ぐかに、早く集中してほしいと思いますね。
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〈プロフィール〉
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年