戦争をきっかけに中国へと渡り、戦後の混乱の中で中国に取り残された日本人「中国残留邦人」。残留邦人とその家族を含めて、約2万人以上がこれまでに帰国していて、その子ども世代にあたるのが「残留邦人2世」です。医療や介護で問題に直面している残留邦人2世の知られざる苦悩を取材しました。

戦争に人生を翻弄された「中国残留邦人と2世」

 京都市伏見区にある集会場。週に一度、お年寄りが集まり麻雀やトランプを楽しんでいます。その会話に耳を傾けてみると、中国語が飛び交います。ここに集まっているのは終戦後、中国に取り残されていた「中国残留邦人」とその家族です。

 (残留邦人の家族)「日本人の友達は少ないし、言葉の交流はできない。みんなと一緒にここで楽しんでいる」
 (残留邦人の家族)「生活で唯一の楽しみはここでみんなとしゃべって遊ぶこと。そうしないと物忘れが激しくなってしまうから」
20250814zanryuuhoouzin-000120868.jpg 京都市に住む、新田和子さん(83)も残留邦人の1人です。その子どもで、残留邦人2世の静恵さん(65)は母と一緒にこの場所へ通っています。

 (残留邦人2世・新田静恵さん)「母たちは日本語があまりできない。私も簡単な日本語しかできない。みんな中国語で楽しんでしゃべれる」

 穏やかに暮らしているように見える2人ですが、その人生は戦争に翻弄されてきました。