菊池事件の再審決定は来年1月の見込み
「現在の状況では、菊池事件の再審決定は来年1月の見込みです。各療養所には全て人権委員会というのが作られました。
この人権委員会というのは、ある種、今までの自治会の機能を、どんどん高齢化していく自治会で自治会の維持ができなくなってくる中で一部代替していく、在園の方々の人権を守っていくということをちょっと想定しながら作られてきています。
療養所永続化の問題が、先ほど言った最後の1人までではなくて、いなくなった後も含めた計画を今やらないと意味がないだろうという風に考えられているところです」
「今、全療協という全国療養所入所者協議会の会長は邑久光明園の屋会長ですけれども、どんどん各園高齢化しておりまして、全療協の活動自体も、あと何年できるか分からないという状況の中で、待ったなしの感じで今、交渉その他が進んでいるといったところになります」
「他方で、差別偏見の解消に関してはまだまだ十分とは言いがたい状態が続いています。
この辺りをもっとちゃんと教育という側面にもっと着目して、進めていく必要があるというところと考えています。
その意味でも、本当は語り部としての方々が必要なんですけども、今、家族訴訟で原告になられた方々が結構おられますけれども、顔が出せない方がほとんどです。
なかなか顔出しOKになる方は少ない。実際に入所経験のある方や、入所者の方はもう高齢化しておられますので、例えば学校に行って話をしていただくとか、それももう難しくなってきています」
「これからは、家族の方々だとか、次はその、支援者の方だとか、あるいは、しっかりこの関係について教育を受けた子どもたち。そういった方々によって、同じような、経験、差別ということが繰り返されないようにしていく活動が進むのではないかという風に思っているところです。
ちなみに、菊池恵楓園に行って参りましたが、菊池恵楓園の隣にある小学校では、本当にそのハンセン病に関する取り組みというか、知識を得て、研究をしてっていうような取り組みがかなり進んでおりまして。
先日、市民学会に行ってきた時に、子供たちの話を聞いてきたんですけども、こういう教育が全国的になされると、だいぶ変わってくるだろうなという風に感じました」
「ちなみに、その小学校は菊池医療刑務所の跡地に建てられていまして、医療刑務所を残すべきだという意見も我々の中ではあったんですけれども、そこの跡地であるということをこう考えて、教育という形で生かしていこうという風になってきています。
また、『かえでの森』っていう子ども園が、療養所の敷地の外れに作られていまして。そこの園長先生のお話も聞くことがあったんですけども、未だにあそこには入れたくないというお考えの方々がおられるというような話もありました。
他方では、本当に利用されているお子さんたちが、その園の歌を歌ってる映像を見せてもらいましたけども、本当に健やかに育っているなという感じも受けました」