300年以上の歴史があるとされ、国の選択無形民俗文化財になっている南さつま市金峰町高橋地区の伝統行事「ヨッカブイ」。

担い手不足により、これまでの形での祭りは今年で休止されます。8月22日に行われた”最後の祭り”を取材しました。

保育園に、子どもの叫び声が響きます。

南さつま市金峰町高橋地区に伝わる「ヨッカブイ」は、例年8月22日に行なわれています。水害が多かったこの地域で、水難よけの行事として300年以上前に始まったとされ、国選択無形民俗文化財になっています。

ヨッカブイ 出会ったら驚く見た目だが、水害から地域を守る存在だ


ヨッカブイでは、シュロの皮を頭にかぶった大ガラッパ=河童(かっぱ)たちが地域に現れます。

保育園にあわられたガラッパたちは、「ヒューヒュー」という声を発しながら、園児たちを捕まえ、抱き上げていきます。


子どもたちは突然の乱入に驚き、大声で泣き出すなど園内は騒然となりました。怖いガラッパですが、水難や水害から地域を守る存在です。

(保育園の職員)
「体の形は怖いけど水の害から守ってくれるんだよって教えてきました」




かつては地区総出で行われた「ヨッカブイ」も、担い手不足の影響で盛大に開くことが難しくなり、集落の玉手神社での奉納相撲などを含めた伝統的な形式での開催は、ことしで休止されることが決まりました。

(高橋地区文化部長 堀ノ内誠さん)
「幼い頃泣かされたり相撲をとったり昔は小学生から中学2年生までやっていたんですけど…。できれば続けたいんですけど…難しいかなと思います」


地域の象徴でもあった「ヨッカブイ」。規模を縮小するなど、何らかの形で伝統をつないでいけないか、これから検討するということです。