新聞やテレビを見ず、詐欺の手口を知らない若者が増加?
日比キャスター:
大阪地検を名乗ってきたという「ニセ検事」のビデオ通話の例もあるので紹介します。

ニセ検事
「ご本人様にお間違いなかったですかね」
被害者
「はい」
ニセ検事
「ありがとうございます。私のほうは大阪地検特捜部検事の石野と申します。(身分証明書らしきものを見せ)こちら、もしピントが合ってない等ございましたらおっしゃっていただけますか」
被害者
「確認できました、ありがとうございます」
ニセ検事
「ではえー、ご不明な点等がございましたらお答えのほうさせていただきますがよろしいですかね」
被害者
「はい、大丈夫です」
日比キャスター:
身元がわかるようなものを、ビデオ通話で見せてくるというのはありえないことですよね。

TBS報道局社会部 井上淳司 記者:
そもそも、ビデオ通話で被疑者対象と何かするというのは、もうあり得ないことだと思っていただいて結構です。
日比キャスター:
シチュエーションとしてあり得ないのに、なぜ若者は騙されてしまうのでしょうか?

TBS報道局社会部 井上淳司 記者:
今の30代以下にとってはスマホが当たり前の時代で、ビデオ通話も簡単にできます。そのため「もしかしたら警察はオンライン捜査も行っているのではないか」と思ってしまうことが、被害者になる理由の一つに挙げられます。
また、スマホで自分の好きなことだけ調べればいい時代になってしまい、新聞やテレビを見ない人が多く、「ニセ警察官」の手口を知らないという背景もあります。
犯罪心理に詳しい立正大学の西田公昭教授によると、騙される人は「警察など、権威ある人物を前にして無意識に指示通りに行動してしまう心理状態」のようです。
日比キャスター:
確かに働き世代というか現役世代は、ビデオ通話にリモートワークなどで慣れているからこそ気づきにくいところもあるかもしれません。
では、騙されないためにはどうすればいいのでしょうか。

そもそも、電話やビデオ通話などで、お金や個人情報の話をするということはあり得ません。こういった話が出た時点で「おかしいな」「詐欺だな」と思ってください。
そして電話を一度切り、自分で調べた番号や、近くの交番の正しい番号にかけなおしましょう。
また、警察への相談専用電話として「#9110」という番号があるので、こちらにも相談してみてもらいたいと思います。
南波キャスター:
一つ気になるのは、これだけ詐欺が増えているということは、関わっている人数や組織も多くなっているということでしょうか?
TBS報道局社会部 井上淳司 記者:
今は海外を拠点にして、闇バイト的に人をどんどん連れ込むのが多くなってきています。このような詐欺は、どこでもできてしまうということです。
日比キャスター:
最近は「+」から始まる、知らない国際電話番号からかかってくるケースも多いようですので、そちらにかけなおさないということにも気をつけたいですね。
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〈プロフィール〉
井上淳司
TBS報道局社会部 警視庁担当
捜査二課を取材 警察取材は常に緊張