台風12号は、22日午前に熱帯低気圧へ変わりました。前日、急に発生した台風12号と、8月10日から11日の記録的な大雨には共通する要因がありました。

台風12号は、午前9時に宮崎県の東の海上で熱帯低気圧に変わりましたが、熊本県内は、午後になって雨が強まっている所があります。
山鹿市鹿北では、午後5時までの1時間に25ミリの強い雨を観測しました。

熱帯低気圧に伴う、暖かく湿った空気の流れ込みで、今夜遅くにかけて大気の不安定な状態が続きそうです。

21日午後5時過ぎに鹿児島県へ上陸した台風12号が発生したのは、上陸の8時間前でした。熱帯低気圧のまま北上すると見られていましたが、九州に近づくにつれ急速に雲がまとまり、台風となりました。
その要因の1つとして気象庁は。

気象庁職員「海面水温が30℃以上の領域が東シナ海に広がっていて、台風の発達に適した状況になっている」
さらに、この高い海面水温が、今月10日から11日にかけての記録的な大雨にも影響していたと、気象学の専門家は指摘します。

九州大学理学研究院 川村隆一教授(気象学が専門)「九州近海の海面水温の影響が一定程度、今回の豪雨に寄与していたと考えている」
川村教授が要因として挙げたのは「海面水温」と「気圧配置」です。

南には太平洋高気圧、停滞する前線上に低気圧があり、九州には大量の水蒸気が流れ込む状態が継続しました。

九州大学理学研究院 川村隆一教授(気象学が専門)「「梅雨の戻り」「戻り梅雨」のような気圧配置になっていた。梅雨末期と異なる点は海の状態。梅雨末期より1か月くらい季節が進行することで、海面水温が3℃くらい上昇するので、その分、海面から多量の熱や水蒸気が大気へ供給される」

例年の梅雨末期、7月上旬の海面水温は九州近海で26℃くらいですが、記録的な大雨となった今月10日は約29℃。暖かい海からの水蒸気の供給が線状降水帯の発生につながりました。
川村教授は「東シナ海で海水温が非常に高い状態だと、台風による大雨が増幅されることが考えられる。注意しなければならない」と話しています。