「熱中症後遺症」にも注意

伊藤院長のクリニックには、熱中症だけでなく「熱中症後遺症」の患者も訪れています。
≪熱中症後遺症の主な症状≫
・集中力の低下・記憶障害・歩行障害・頭痛・吐き気やおう吐・肝臓や腎臓など臓器の障害・体温調節の不調
伊藤博道院長:
熱中症後遺症って教科書に載っているような病名でもないですし昔はあまり言われていなかったんですけど、去年ぐらいから言われるようになって今年は実際に患者さんも増えています。
重症度がⅢ度以上の熱中症だと大体数%から10%ぐらいの高頻度で起こるとされていますが、実際にはⅡ度の中等症でもやや症状が重い患者さんや初期治療が遅くなった人に後遺症になる患者さんがいるのを感じています。
〈熱中症重症度の分類〉
【Ⅰ度】現場での応急処置で対応できる軽症
症状:めまい・失神 筋肉痛・筋肉の硬直 手足のしびれ 気分の不快
【Ⅱ度】病院への搬送を必要とする中等症
症状:頭痛 吐き気・おう吐 倦怠感・虚脱感
【Ⅲ度】入院して集中治療の必要性のある重症
症状:Ⅱ度の症状に加え 意識障害 けいれん・手足の運動障害 高体温 肝機能異常 腎機能異常 血液凝固障害

40代女性のケースではー
8月5日、飲食店の厨房の中での作業後、めまいやふらつき、おう吐、しびれの症状が出て病院で熱中症と診断され点滴を受けました。
しかし翌日以降も症状は改善されず、4日後「熱中症後遺症」と診断されました。
現在も倦怠感や関節痛などの症状に悩まされ、休職し療養を続けています。
特につらいのが、熱はないのに「頭の中が熱い」ことで、保冷剤を常にあてている状態だといいます。
伊藤博道院長:
体温を調節する機能は中枢神経の視床下部の辺りにあると言われていますが、この神経の回復には数週間かかると言われています。異常に暑く感じてしまったり、寒気を感じたり、汗がうまくかけなかったり、必要ないところで異常に汗をかいてしまったりというちぐはぐな体温調節がしばしば起こります。
伊藤院長によると、熱中症後遺症の症状が重い人は3か月〜半年位ずっと歩けないこともあり、高齢だと今までと同じように歩けるところまで戻らない人もいます。治療は簡単ではなく、特効薬もないといいます。