高知市に2025年4月、認知症のリハビリに特化したセンターがオープンしました。リハビリセンターに通いながら認知症を改善しようと励む親子を取材しました。
(尾崎由美さん)
「母が料理が得意でいろいろと料理をしていたんですけど、電子レンジの中に調理中のものを残したりとか、そのままになったりして、おかしいなと思ったのが始まりです」

高知市に住む尾崎幸子さん91歳。7年前に認知症と診断されました。独り事を言ったり、突然、空想の世界に入ってしまったりするのが主な症状だといい、現在は娘の由美さんと暮らしています。

(尾崎由美さん)
「いまは独り言も多いけれど、支障のない程度の生活ができています」
認知症は誰にでも起こりうる脳の病気。高知県のまとめによりますと、県内では2035年まで認知症の高齢者が増え続け、65歳以上の5人に1人が認知症になると見込まれています。

尾崎さんはいま、高知市にある認知症リハビリセンターに通っています。このリハビリセンターは2016年に大阪に誕生し全国に展開していて、2025年4月、12施設目が高知市にオープンしました。

認知症ケアの専門士などが利用者一人一人に対し、生活する上で困っていることや目標に合わせて個別のリハビリを提供します。

(認知症リハビリセンター高知 認知症リハビリテーション専門士 岡本ひろみさん)
「体と心と脳といろいろな方法からアプローチをして、改善してもらうためのリハビリテーションセンターです。どこが弱いのかというのをあらかじめしっかり評価に時間をかけて、この人はここにアプローチすればきっといけるだろうと目星をつけてアプローチしていきます」

この日、尾崎さんは脳の機能を鍛える卓上トレーニングやリズム体操などを行っていました。

完治するのは難しいとされている認知症ですが、症状を改善したり、問題行動を少なくしたりすることはできるといいます。

(認知症リハビリセンター高知 認知症リハビリテーション専門士 岡本ひろみさん)
「私と同じことをしてください。万歳。鼻から息吸って、ふー。オッケー。手首をぶらぶらします」


尾崎さんはリハビリセンターで車椅子を乗り降りする動きを練習したことで、動作が以前よりスムーズになりました。

(認知症リハビリセンター高知 認知症リハビリテーション専門士 岡本ひろみさん)
「ご本人にもちろん使ってもらいたいですけど、一番は家族に元気になってもらいたい。もしかしたら認知症かも、最近ちょっと心配なんだけどみたいな人にも利用してもらいたいです。そうすると改善早いですし」

(尾崎由美さん)
「本人もちょっとやる気になっている気がします。私は母と旅行に行きたいので、自由に(車椅子から)乗り移りができたりとか、できたら車椅子をやめてシルバーカーに戻したいです」

2人の趣味は「旅行」ですが、2024年12月に、尾崎さんは突然、認知度が低下。表情が険しく、笑顔がなくなった時がありました。その時にゆみさんは自宅で2人の好きなハワイの音楽を流したり、愛犬にそっくりのぬいぐるみを購入したりと、尾崎さんの周りに好きなものをたくさん用意したといいます。

(尾崎由美さん)
「母に(愛犬のぬいぐるみを)渡したら、ずっと抱きしめて寝るときも一緒。けっこうそれで母もかなり明るくなったような気がします」

「認知症だからとあきらめたくはない」。由美さんは少しでも症状が改善するようにさまざまな工夫をし、可能性のあるものには何にでもチャレンジしながら母を支えています。
(尾崎由美さん)
「私は根気と愛情をもって母に接して、少しでも改善して、2人の趣味である旅行にまた行きたいなと思っています」

認知症リハビリセンターでは8月23日に無料の見学会を行います。認知症リハビリセンターのHPで申し込みを受けつけているほか、予約なしで当日の参加も可能だということです。詳しいことは(088ー879ー9143)までお問い合わせください。
