都市で見かける他のトンボとの違い・見分け方

(大野竜徳さん)
「都市でよく見かけるトンボと、ウスバキトンボの違いを簡単にまとめると…」

ウスバキトンボ 黄色~オレンジ色で淡い 翅が非常に薄く透明 群れで高く長時間滑空、渡り 春~秋

アキアカネ 真っ赤な腹部 翅もやや色づく 草地や田んぼ近く、単独や小群 秋

シオカラトンボ オスは青白、メスは黄褐色 透明で幅広 水辺近くを低く飛ぶ 春~秋

ギンヤンマ 緑の顔と胴、腹が水色 翅がしっかり 水面を高速巡回飛行 春~秋

「ウスバキトンボは、体色が柔らかい黄橙色で、赤とんぼほど濃くなく、翅が極端に薄く見えるため、軽やかにひらひらと舞う姿が特徴的です」

「防虫」の視点からみるウスバキトンボ

(東洋産業 大野竜徳さん)
「ウスバキトンボは、人間社会にとって直接的な害虫ではなく、むしろ蚊やハエを捕食するため、**“空飛ぶ防虫隊員”**ともいえる存在です。

ただし都市環境では、以下のような視点も重要です。

【ビル清掃管理】
産卵による卵跡がガラス面に残ることがあるため、美観維持が重要な施設では、紫外線反射抑制フィルムや水面状反射防止対策が有効です。

【ボウフラ抑制】
ヤゴがボウフラを捕食することから、駐車場や屋上水槽の一時的水たまりでも完全に排除せず、生態系バランス維持を考慮する管理手法も検討価値があります(ただし水たまり管理の衛生リスクは別途評価が必要です)」

「このようにウスバキトンボの存在は、『防虫=殺虫』だけではない生態系制御の視点を私たちに思い出させてくれます」