児童ら127人が犠牲となった大分県津久見市の保戸島空襲から80年。ふるさとの悲劇と向き合い、地元の子どもたちが平和への願いを込めて舞台に立ちます。

稽古に熱がこもるのは、津久見市の「樫の実少年少女合唱団」で、2歳から高校生までの65人が所属しています。

21日の舞台公演で彼らが挑むのは80年前に故郷を襲った悲劇「保戸島空襲」です。

保戸島(津久見市)

(樫の実少年少女合唱団・川野有希恵さん)「語り継いでいける人が少なくなっている中、戦争の悲惨さを皆さんに伝えることが出来ればいいなと思っています」

保戸島空襲は1945年7月25日、アメリカ軍の攻撃機によって当時の保戸島国民学校が空襲を受け授業中だった児童ら127人の命が奪われました。

脚本と演出を手掛けるのは戦争をテーマにドキュメンタリーなどを制作する川谷和也さん。残された資料を読み解き悲劇の本質を子どもたちに伝えます。

物語は、保戸島出身の男性が戦時中にタイムスリップして妹や同級生と故郷で過ごす穏やかなひとときが空襲によって無残に引き裂かれてしまう様子を描いています。舞台には県出身の俳優も加わり、世代を超えて一つの舞台を創り上げます。

今回の舞台を通して、自分たちが住む町で起きた悲劇を学んだ子どもたち。戦争の苦しみや突然、未来を絶たれた同じ年頃の子どもたちの無念さに思いを馳せながら舞台に臨みます。

(樫の実少年少女合唱団・松下茉鈴さん)「苦しい時代だったと思うのでその苦しさを私たちがもっと理解してそれを多くの人に届けられるように頑張りたい」

(脚本・演出 川谷和也さん)「とんでもない戦争の恐怖によって引き裂かれていく、破壊されていく時の悲劇がものすごくストレートに伝わると思う。これからの平和をしっかりと考えるきっかになれば」

保戸島空襲から80年。体験者が少なくなる中、子どもたちが新たな語り部となり、平和の尊さを伝えます。