大豆ミートなど拡大している代替食品の市場で、今注目されているのが代替シーフードだ。水産資源の枯渇が世界的な問題になっている中、課題解決につながるのか。代替シーフードの最前線を取材した。

■植物由来なのに…まるで“うなぎ”! 「プラントいくら」も開発中

見た目は本物のうなぎのようだが、実は大豆でできている「うなぎのかば焼き」。製造しているのは三重県菰野町にある水産加工メーカー「あづまフーズ」だ。同社は2021年から植物由来を意味する「プラントベース」の商品「まるで魚シリーズ」を開発し、通信販売を開始した。今回新たにプラントベースのウナギの商品化に乗り出した。

あづまフーズ 執行役員 杉浦吉啓氏:
うなぎの模倣品はすり身屋さんでも作られています。それをプラントベースで形にしたというのがこだわりで、かつ皮目の部分まで模倣しようと、そこまでこだわったところはあづまフーズらしいこだわりかなと。

シリコン製の型に原材料となる豆腐、大豆タンパク、でんぷんと調味料を混ぜ合わせたものを入れ、ペースト状に加工した海藻を載せ、うなぎの皮を再現する。これを一晩凍らせて熟成させた後、タレを塗り、オーブンで焼く。さらにバーナーであぶってようやくプラントベースのうなぎが完成する。タレも100%植物由来というこだわりで、本来はうなぎのエキスがよく使用されるが、特別に地元の醤油メーカーに作ってもらったという。

2022年7月、土曜の丑の日に通信販売で試験的に発売したところ、1枚1620円の商品100枚すべてが完売。プラントうなぎの大量生産に踏み切るきっかけになった。

いま開発中の代替シーフードが、プラントベースのいくらだ。海藻から抽出した水溶性の食物繊維を天然色素で着色し、それを粒状にすることで本物そっくりの味と見た目を再現。さらにプチっとした食感を求めて開発が進んでいる。

あづまフーズ 杉浦氏:
動物性の食材が安定してないという部分で、水産品がかなり安定していません。商売になるぞというのも含めて、水産のプラントベースにチャレンジしようと。

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の漁獲量の35%は適正レベルを超えて乱獲されていると言われ、今後、水産資源の枯渇が深刻化するとみられている。