「仕方なく人の肉を…」餓死相次ぐ“激戦地”での生々しい記憶

先住民たちが送り込まれたのは、12万人以上の日本兵が戦死した、東部ニューギニアなどの南方の激戦地。日本軍は、元々森の中で裸足で暮らし、身体能力に優れていた先住民たちの部隊を結成しました。

旧日本軍の将校だった井登慧さん(102)。当時、台湾の先住民たちに、ある作戦の訓練をさせたと言います。

将校として先住民を訓練 井登慧さん
「夜間に敵の陣地に忍び込んで行って、爆薬を持って行って、敵の要所要所を爆破するのが遊撃戦。高砂族は夜間でも目が見える。裸足で行くから音がしないから、遊撃戦にはもってこいと。日本の兵隊より役に立つと見たんでしょうね」

日本軍は、先住民たちに敵陣に忍び寄って襲いかかる「遊撃戦」を担わせました。

将校として先住民を訓練 井登慧さん
「日本の兵隊よりも勇敢で頼もしかった」

しかし、アメリカなど連合軍との戦力の差は歴然。ジャングルの厳しい自然環境に加えて、食糧の補給路も断たれ、病に倒れたり、餓死したりする兵士が相次ぎました。

戦地には4000人を超える先住民が送られ、約7割の兵士が犠牲になったとされています。

戦場に赴いた先住民の生々しい証言が残されています。

元日本兵 イリシレガイさん(当時69)
「とにかく腹が減ってたまらない。動いている動物、トカゲとか殺して食べたぐらいだから。バタバタ人が倒れている。夜、刀で切って焼く。それを考えたら、もう…」

この兵士から、凄惨な戦場の様子を聞いた息子は。

父が元日本兵 ツムルサイ・ダウドゥドゥさん(57)
「遺体がたくさんあるので、そこの水を飲むと病気になります。おしっこを飲むしかないんです。人の肉を仕方なく食べていたそうです。父が友達に話しているのをこっそり聞きました。子どもに話すわけがありません」