戦後も“復員船”として数多くの命運んだ「雪風」 乗船し続けた西崎さんの思い

“幸運艦”と呼ばれた駆逐艦「雪風」にも、戦死した乗組員がいました。しかしそれでも「雪風」は、戦艦「大和」などの生存者を救助し、“沖縄水上特攻”から帰還します。

その後「雪風」は、終戦後も復員船として活躍し、1万人以上を帰還させました。西崎さんもまた、戦後は甲板長として「雪風」に乗船し続けました。そして2012年頃から証言活動をはじめ、2021年に亡くなる直前まで、自身の経験を語り続けました。

長年、西崎さんの証言活動に関わってきた、学芸員の山口隆行さん。“幸運艦”と呼ばれた「雪風」を、西崎さんは、単に運がよかっただけではないと語っていたと言います。

学芸員 山口隆行さん
「(西崎さんは)亡くなった人を、たぶん一万人は見届けている。遭難している沈没船の船員を救助したり、あるいは救助しようとしたけれど、もう間に合わなかったところも見ている」

「一人の少年が体験した“戦争の影”といえばいいのか。ご本人の言い方では『私は業(ごう)を背負ってますから』と」