広がる陰謀論 いま求められる情報と正確性は?
藤森祥平キャスター:
当時のつらい記憶をもとに、今回、かつての自衛官が取材に応じてくださいました。
現在インターネットを中心に広がっている「日航機墜落は、自衛隊が原因になっているものだ」というようないわゆる“陰謀論”に対し、「本当のことを知ってほしい」「現場で活動した皆さんの尊厳を守りたい」という気持ちがあったということです。
真偽がわからない情報に、さらに胸を痛めてしまっている人が存在しているということです。
小川彩佳キャスター:
だからこそ事故から40年経った今、初めて証言をしてくださる方がいるわけですね。
記憶を繋いでいく私達も、改めて正確な情報に立脚して考えようとする姿勢を持たなければと感じます。

小説家 真山 仁さん:
実は10年前に、この事故をテーマに小説を書こうと思い、御巣鷹山に2回登りました。事故から30年の慰霊祭を取材したり、周辺に同世代の日本航空社員もいたりしたので、いろいろな人に話を聞きましたが、やはり「わからないままでいいのか」という思いがすごくあったように感じました。
ドキュメンタリーやノンフィクションだと全ての裏付けが無いと解明できませんが、小説の場合は、さまざま情報の中から「こうではないか」という提案ができるのではないかと思いました。いろいろな事情があって断念しましたが、その後、陰謀的な話が出てきたので、もっと頑張って取材をすればよかったと感じました。
一方で、40年というのは重要で、例えばアメリカの公文書が開示される年だったりします。ボーイングはアメリカ政府には絶対に報告してるはずですが、機密文書になっているのでしょう。
機密文書が開示されることで、何があったのか解明されていくはずです。“陰謀論”などを含め、何があったかわからないままというのは、全ての当事者にとって不幸でしかありません。
「悲しみのかさぶたを剥がすのか」という意見もありますが、これだけの年月が経っていますので、何があったのか解明すべきなのかなと思います。私自身、このタイミングでスタジオに呼ばれたことも含めて、「もっと早くやるべきだった」という思いはあります。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
最新著書に「アラート」