スマホに眠る“デジタル遺産”トラブル

遺産相続にもデジタル化の波が押し寄せています。
「デジタル遺産」とは、亡くなった方のネット上に残されたお金ですが、相続できないというトラブルが急増しています。

まず、スマートフォンのロック画面のパスワードは、携帯ショップやスマホの会社に問い合わせをしても知ることはできません。
スマホの設定によっては、何度かパスワードを試しているうちにロックがかかってしまって解除に時間がかかってしまうこともあります。
さらに、生体認証は登録者が死亡した場合には、基本的に解除できないことになっています。

スマホがロックされてしまうと起こりうるトラブルです。

〈1〉銀行預金がなくなる
スマホで開設するネット銀行・証券などは、紙の契約書や通帳がないことがほとんどなので、家族がその存在自体に気づけません。10年以上入出金がないと、休眠預金となって国庫に入ります。
特別な手続きをすれば引き出せますが、存在がわからなければ手続きもできません。

〈2〉サブスクや習い事などの支払いが続く
亡くなった方のクレジットカードを解約しても、コンテンツの月額支払いを解約しなければ、未払い状態となります。
さらに銀行口座振替にしている場合でも、残高がある限り引き落としが続くので資産が減っていってしまいます。

〈3〉“内緒の借金”に気づかない
借金も相続の対象になります。家族に知られたくないという理由で、スマホだけで完結していた借金があることも。
子どもが知らずに土地などを相続した場合、数か月後に親の借金の返済義務を負うことになります。

税理士 橘 慶太氏:
全般に言えることなんですけれども、いざ相続が起きると毎日課金されていくものをいち早く止めたくなります。携帯電話そのものを解約してしまう方が結構いらっしゃるんですが、それは最後にしていただきたい。
携帯電話を解約してしまうとスマートフォンを開くときの2段階認証ができなくなってしまう可能性があります。
アプリを発見してタップするんだけど、2段階認証が届かなくて入れないということもあるので、携帯電話の解約は一番最後。その他のサブスクなどは、解約できるものについてはできるだけ早く一つずつ解約していただくことをおすすめします。

恵俊彰:
開けない場合はどうすればいいですか?

税理士 橘 慶太氏:
開けない場合もたくさんあるんですけれども、例えばこの電子マネーについては、その有名どころの会社に一つずつ問い合わせをすれば、「残高ありますよ」と教えてくれます。
サブスクについては、クレジットカードや銀行をストップすれば、一旦継続での課金は止まって、未払いがあれば相続人に手紙が届くので、それで把握することになります。