「向き合い続け、伝え続ける」奈緒が受け取ったバトン
神馬さんの目を見つめて、じっと話を聞いていた奈緒。語り終え、ふっと息を吐いて体の力を抜いた神馬さんに、こう問いかけた。
「私たちが戦争を繰り返さないために、何が必要だと思いますか」
神馬さんは目をつぶって考え込んだ。そして穏やかに話し始めた。
「分からないな。僕は生徒たちには『偉い人の言うことを真に受けるな、一回疑問を持って自分の胸で考えてみろ』と言ってる。『個人個人がよく勉強をして、本を読んで、テレビを見て、そして友達と話しなさい』って。そして、平和への思いは他の国々の人も必ず持っているから、手を携えてやっていかなければならない。夢みたいだけれどもさ、一人一人頑張らなくちゃ。だけど自分を犠牲にしたらダメだよ。自分を大事にしないと。奈緒さんのお考えはどうですか?」
神馬さんの問いかけに、奈緒は自らの決意を述べるかのように、はっきりとした口調で答えた。
「神馬さんから『分からない』と聞けたことに、すごくほっとしています。分からないから考え続けないといけないんだろうなって思うんです。私たちが向き合い続け、伝え続けるしかないんだなと。そして自分を大事にして、自分を大事にするように隣にいる人のことも大事にしないといけないんだなと思いました」

※この記事は、JNN/TBSとYahoo!ニュースによる戦後80年プロジェクト「#きおくをつなごう」の共同連携企画です。記事で紹介した「予科練」や「特攻」、「シベリア抑留」についての情報に心当たりのある方は「戦後80年 #きおくをつなごう」サイト内の情報募集フォームにご連絡ください。
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