「核抑止」は機能するのか? 過去には使用寸前まで…

一方で現在、多くの国が核兵器の開発・保有を続けています。背景にあるのが「核抑止」という考え方でした。
核抑止とは、圧倒的破壊力を有する核兵器を互いに持つことで、使用を思いとどまらせるという考え方。
これについて湯崎知事は...

広島県 湯崎英彦知事
「自信過剰な指導者の出現、突出したエゴ、高揚した民衆の圧力、あるいは誤解や錯誤により抑止は破られてきました。我が国も、力の均衡では圧倒的に不利と知りながらも、自ら太平洋戦争の端緒を切ったように、人間は必ずしも抑止論、特に核抑止論が前提とする合理的判断が常に働くとは限らないことを、身を以て示しています。
抑止力とは、武力の均衡のみを指すものではなく、ソフトパワーや外交を含む広い概念であるはずです。抑止力から核という要素を取り除かなければなりません」
振り返れば、核ミサイルが発射寸前まで至ったことは幾度かありました。

例えば1983年、アメリカからミサイルが発射されたという誤った情報を受け、ソ連がそれに対抗しようと、核戦争の瀬戸際に。
また、アメリカの元国防長官ウィリアム・ペリー氏は著書で、冷戦期にアメリカで少なくとも3回、ソ連で2回、誤警報があったと記しており、核が偶発的にでも使用される危険性は否定できません。

長崎大学 鈴木達治郎 客員教授
「残念ながら核抑止というのは、その(核使用の)可能性をゼロにはできない。この80年間使われなかった幸運が、今後も続く保証は全くない」
核が80年間使われることのなかった意味が、今、改めて問われています。

広島県 湯崎英彦知事
「核兵器廃絶は、決して遠くに見上げる北極星ではありません。被爆で崩壊した瓦礫に挟まれ、身動きの取れなくなった被爆者が、暗闇のなか、一筋の光に向かって、一歩ずつ這い進み、最後は抜け出して生を掴んだように、核兵器廃絶という光に向けて這い進み、人類の、地球の生と安全を勝ち取ろうではありませんか」














