若い世代へ…事実を見て、そして感じてください

編集部 戦後80年の半分近くの36年、「サンデーモーニング」を出し続けられてきた関口さんから、若い世代に向けて、戦争と平和についてメッセージを若い世代に伝えるとしたら、どういうことを仰りたいですか。

関口 事実を見てください。で、感じてくださいだね。誰かの意見に影響されるとかそういうことではなくて、あなた自身が事実を見て、事実から感じてくださいだよね。

そのためには、いろんなものを見てもらった方がいい。長崎、広島ね。行って欲しいしね。いろんな方がいろんなことを語ってる本もあるしね。そういうものを見ていただいて、自分自身で考えていただくってことが大事だね。

編集部 今の若い人たちはスマホを見て世の中がわかったつもりになっているように感じます。

関口 かもしれないよね。難しいよね。ある意味、やっぱり活字離れっていうのは心配してる。なるべく手っ取り早くわかりたいっていうこの感覚も、実は危ないですよって若い人たちには言いたいね。

手っ取り早さってのは、あるときには必要だけれど、手っ取り早く得た情報が、ときには間違ってるかもしれないからね。

編集部 最後になりますが、最近は戦争経験がない若い政治家たちが出てきて、極端な話、原爆も安上がりだというような、どんどんきな臭い方向に話がいきますけれども、そういう世の中の状況をどう思われますか。

関口 駄目です。それは。戦争は絶対起こしてはいけない。うん。

今のまんま行くとね、世界的に見れば、どっかでひょっとすると、核兵器を使っちゃう国が出てきちゃうかもしれないよね。「だから日本もそれに備えて」って、それはとんでもない話ですよ。絶対やっちゃいけない。

〈関口 宏(せきぐち・ひろし)さんの略歴〉
1943年 東京都生まれ
1963年 俳優として芸能界デビュー
1966年 立教大学法学部を卒業、71年からフジテレビ「スター千一夜」の司会を務める傍ら、映画やドラマに多数出演。その後TBSの「クイズ100人に聞きました」「わくわく動物ランド」「関口宏の東京フレンドパーク」など、テレビでの司会業を中心に活躍。
なかでも1987年にスタートした「サンデーモーニング」(当初は「関口宏のサンデーモーニング」)では36年半にわたりMCを務め、その功績から2024年4月、ギャラクシー賞の志賀信夫賞を受賞した。
現在は、BS-TBSの「関口宏のこの先どうなる」「関口宏の一番新しい近現代史」、BS朝日の「関口宏の雑誌の記憶」でMCを務める。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。