アメリカのトランプ大統領が世界に課した“相互関税”が7日午後1時すぎに発動されました。しかし、その関税をめぐり、日米間でこの認識にズレが生じていました。輸出業者は「子どものケンカのよう」と怒りをにじませました。

「言った言わない子どものケンカ」“トランプ関税”日米にズレ

埼玉県の老舗しょうゆメーカー「笛木醤油」。度重なる混乱に憤っていました。

笛木醤油 笛木小春 常務
「日本政府何やってるんだっていう、赤沢大臣ももちろん頑張ってくれていると思うんですけど。結局大事なところちゃんと詰めてなかったのかなって」

相互関税発動日の8月7日、笛木常務が怒りをにじませたのが、浮き彫りになった、“日米のズレ”です。

政府はこれまで、日米合意によって従来の関税が15%未満の品目については「15%に引き上げられる」と説明してきました。

しかし、自民党の小野寺政調会長は…

自民党 小野寺五典 政調会長
「通常の関税に加えて15%が上乗せされているというのが、今の状況であります」

実際に発動された関税は「15%の上乗せ」。醤油は3%だったため、18%に引き上げられたのです。

笛木醤油 笛木小春 常務
「子どもの喧嘩みたいですよね、言った言わないみたいな感じで。誰に聞けばいいのかという不安と、『こうなりましたよ』といってもそれを信じていいのかなっていうのが、二転三転してしまうと、何も信用できない中で、輸出をどれだけ注力していくべきなのか、不安と葛藤がありますね」

すでに商談などに影響が出ているという笛木さん。それに加えての“上乗せ”に…

笛木醤油 笛木小春 常務
「少しずつ人脈とかパイプとかができてきた中で、本当に関税っていう冷や水がどばっとかかってきたような感じですね」
「数%でも上がるのは非常に大きい打撃だなと思っています」
「大事なことはSNSで勝手に上がるっていうのが、そんなやり方、許しちゃダメですよね」

牛肉の関税は26%→41% 日本の「説明不足」

深刻な打撃は「和牛」でも。霜降りの甘い脂が特徴で、アメリカを含めて世界で人気を博す「常陸牛」。

茨城県常陸牛振興協会 谷口勇 事務局長
「私はね、26.4%で決定すればいいなと思っていました。もう本当に困ったなという思いですね」

牛肉の関税率は、これまで26.4%でした。
日本の説明では、醤油のように従来の関税率が15%未満の品目は、15%に引き上げられる一方で、牛肉はすでに15%を超えているため、26.4%のまま据え置かれるということでした。

しかし、牛肉も15%上乗せとなったため、一気に41.4%まで跳ね上がってしまったのです。

茨城県常陸牛振興協会 谷口事務局長
「元の関税率(26.4%)に戻るのかなと思っておりましたけれども、それがぬか喜びになりそうな感じもあるので、41%超えちゃうんだなと、そうなると大変だなという思いがあります」