米FRB・反対票理事2人は“クジャク派”

一方、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)も7月30日、トランプ関税の物価への影響を見極めるのに時間がかかるとして、4.5%を上限としている現在の政策金利を5会合連続で据え置くことに決定。

また、今回の会合では、第一次トランプ政権時に理事に指名されたボウマン副議長とウォラー理事の2人が「0.25%の利下げを行うべき」として反対票を投じた。

FRBの7人の理事のうち2人が反対したのは32年ぶりのことで、その2人を「クジャク派」と揶揄する声も上がっていると話すのは、マネーマーケットの現場の視点から金融政策を分析する加藤出さんだ。

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「先日ニューヨークに行った時に現地のFedウォッチャーが言っていたのが『従来FOMC(連邦公開市場委員会=米国の金融政策を決定する会合)には2種類の鳥がいたが、3種類になった』と。インフレ抑制を主張するタカと、景気重視のハト。そこにクジャクが現れたと。利下げを主張してトランプ大統領に羽を広げて、私を見て、私を議長にしてと鳴いているという揶揄」

「日銀の慎重スタンス」で物価高⇒消費減

日米とも慎重な姿勢が続く格好になったわけだが、播摩卓士キャスターは日銀・植田総裁への違和感を口にする。

――関税の影響が不確実だから利上げする局面にはないと。それは誰も異論がないと思うが、足元で起きてる物価高に対して非常に冷たいというか、無関心な感じを受ける

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「植田総裁は、(食料やエネルギー価格の高騰など一時的要因の影響を取り除いた)基調的物価が大事だと。つまり、賃金が伸びながら物価が上がっていく“需要の強さに伴う物価上昇”はまだ十分じゃないと言っているわけだが、実際のインフレ率は3%台。今起きているインフレが日銀と全く無関係かというと決してそうではないと思う」

【6月の消費者物価指数】前年同月比
▼生鮮・エネルギーを除く⇒3.4%
▼生鮮除く⇒3.3%

加藤さん:
「慎重に金利を低く据え置いているがゆえに、なかなか円高方向に行かずガソリンや食料など生活コストが上がってしまっている。日銀のスタンス自体が物価を上げてしまって、それによって財布の紐が閉まり消費がぱっとしないという流れが起きている。またコメ高騰は直接的には日銀のせいではないとも言えるが、ベースにインフレへの不安心理がある。そこにコメ不足で慌てて買いに行く、売る側も売り惜しみする方が上がるかなと。そういうのがあるからこそ、今の米騒動になっている」