アメリカ・トランプ大統領は、日本に対する相互関税を15%とし、8月7日に発動する大統領令に署名しました。鹿児島ではお茶の海外輸出が昨年度2倍に増えた中、ピンチをチャンスに変えようとする動きがあります。
(記者)「アメリカとの相互関税15%。鹿児島の茶農家はどのように見ているのでしょうか」
霧島市でお茶を生産・販売するヘンタ製茶です。海外での抹茶ブームから、欧米への輸出に力を入れています。
県によりますと、昨年度、県内の農林水産物の輸出額は471億円で、過去最高を更新しました。中でもお茶は品目別で3番目に多い63億円ほどで、前の年の2倍に伸びました。
ヘンタ製茶では抹茶の原料・てん茶の生産量が昨年度85トン。そのうち27トンが海外向けで、アメリカはその6割以上を占めています。
(ヘンタ製茶 邉田孝一社長)「(アメリカで)抹茶ラテや抹茶を使ったスイーツ、煎茶も(消費が)増えている。てん茶の価格が去年の約2倍くらいになっている」
ヘンタ製茶は2016年にてん茶の加工場を建設。生産量、輸出量とも年々増加しています。
(ヘンタ製茶 邉田孝一社長)「価格が煎茶に比べて高いので経営にプラスになるのがてん茶の良さ。国内需要は減りつつあるので、これからは海外の方が価格も高いし、売り先も広い」
今月7日に発動される15%の相互関税。それでも、「いいものを作り続ければ、アメリカ市場で存在価値を高められる」と考えています。
(ヘンタ製茶 邉田孝一社長)「いいものは全然足りないので『少々高くても関税かかっても買う』と言われる。抹茶本来のうま味に対する感想を海外から聞けたときは嬉しい。『うまい』と」
一方で、二転三転してきたアメリカの関税政策に、一企業や個人の努力では立ち行かない面もあるといいます。
(ヘンタ製茶 邉田孝一社長)「売り先によっては(取引)相手から『15%も非常に痛い』という話も聞く。個人で(関税に立ち向かうこと)は無理だと思う、相手のアメリカの人が望むお茶をいかにして(鹿児島の業界)みんなで作り続けられるるか」
荒茶の生産量日本一の鹿児島。国内市場が縮小する中、関税率の引き上げを逆手に、海外市場での挑戦を続けます。