事件当日を知る同僚には「性行為には同意があった」と広められ…
ひかりさんから事件について打ち明けられていた人がいる。
34年にわたって検事を務め、2025年3月に大阪高検を退職した田中嘉寿子さん。
大阪高検 元検事 田中嘉寿子さん
「(同じビルの)下が大阪地検で、上が大阪高検です」
田中さんは、公私にわたりひかりさんのことをよく知るという。

大阪高検 元検事 田中嘉寿子さん
「私にとっては、ひかりさんはすごく親しい後輩で、旦那さんとすごく仲が良くて、子どもさんを可愛がってて仕事熱心で。
北川とひかりさんと、私と同じ部署にいたときもありますから、北川のことは上司としては尊敬していると思ってましたけど、男として見てるなんて、あり得ないんですよね」
被害から数年後、ひかりさんはPTSDを発症。
休職に追い込まれて間もなく、刑事告訴に踏み切り、北川被告は準強制性交の疑いで逮捕・起訴された。

さらにひかりさんは、大阪地検の同僚で事件があった日の懇親会にも参加していた女性副検事が「性行為には同意があった」などと検察庁内で広めたと訴えている。
ひかりさんは名誉毀損などの疑いで、この副検事を告訴・告発したが、検察は不起訴処分に。
検察審査会に申し立てようと不起訴記録の開示を求めたが、「全て開示しない」という回答だった。
大阪地検 検事 ひかりさん(仮名)
「今、検察からもひどい被害、二次加害を受け、誹謗中傷されて、被害者(自分)の名前も言い広められて、こんな事態になると分かっていたら、私は多分、被害申告できなかったと思います」
被告は捜査側の視点を熟知 性犯罪の判例もとに主張変えたか
神戸地検時代、北川被告の部下だった田中さん。当時、手がけた一冊の指南書がある。
性犯罪で不起訴になった事例や、裁判で争点になりやすいポイントなどを捜査側の視点で記したものだ。

大阪高検 元検事 田中嘉寿子さん
「実際の事件をベースにしているんですけど、(被害者が)従前好意を抱いていたというのは、まさに不起訴になりやすい最も典型的なパターンです」
山本キャスター
「ここに書かれていること、全部、北川被告は知っている?」
大阪高検 元検事 田中さん
「知っています。その上で、今の弁解というか、公判闘争をしていると思います」

北川被告は、初公判では罪を認めたものの、その後、性行為には「同意があったと思っていた」と、無罪を主張する方針に転じた。
性暴力事件の判例をもとに、主張を変えたのではないかと田中さんは推測する。

大阪高検 元検事 田中さん
「被告人が“同意があると思っていた”という、“同意誤信弁解”っていうんですけど。同意誤信弁解が通って、無罪になった理不尽なケースが、性犯罪の事件には判例で山のようにあるんですね。このパターンだと無罪になりやすい、後で有利にできるとか、(北川被告は)よく煩わされましたので」
PTSDの治療で休職中のひかりさん。今、思うことは…

大阪地検 検事 ひかりさん(仮名)
「法を司る法の番人である検察庁でも(性被害が)起きていて、起きるたびに検証や再発防止策がとられていない。
検察組織の傷口を広げないようにする。同じことが繰り返されるだけ。それを阻止したいと思います」