農家への直接支払い かつて日本でも実施

 「農家への直接支払い」を訴える政党もありました。これは、EUやアメリカなどで主流になっている政策だといい、かつては日本でも行われていたといいます。それは2010年の民主党政権時代に導入され、条件付きで1ヘクタール当たり15万円が農家に直接支払われていたといいます。

 しかし政策はその後の自民党政権で半分になり、2018年に廃止されました。ということは、「これは失敗なのですか?」と山下氏に聞くと、「制度自体には問題がなかったが、当時の政権のやり方に問題があった」ということです。
11.jpg ポイントは2点あり、当時は「直接支払い」と「減反政策」の両方を行っており、ある意味二重保護だったそうです。さらに対象も絞らず小規模農家にも補償をしていたため、「バラマキ色」が強く財政負担が大きい割に、効率的な制度にはなっていなかったということです。

 では、どうしていればよかったのか、山下氏は「減反政策」か「直接支払い」かどちらか一方に絞るべきだったのでは、という意見。さらに直接支払いを行う対象も、主業農家に絞ることで、農業の大規模化を促す、というのも一つの方法ではなかったか、と指摘しました。直接支払いをめぐっては今後、このあたりの議論がどのように進んでいくか注目です。