参議院選挙で負けた与党。東北や北陸などの「コメどころ」でも自民党は負けていて、コメ政策の失敗が、負けの一因ではないかという指摘もあります。農政に詳しい元農水官僚のキヤノングローバル戦略研究所・山下一仁研究主幹は「小泉農水大臣が、じゃぶじゃぶにする、どんどん下げるんだと、消費者にとっては良かったが、農家にとってはせっかく上げた米価が下げられるのか、とネガティブな印象になった」と指摘しました。選挙後、日本のコメ政策はどう改善していくべきなのか、その見解をもとに解説します。

いわゆる「米どころ」で大敗

 3年前の参院選では、自民党は東北地方、新潟県、長野県の「コメどころ」いずれも1人区で5勝3敗と勝ち越しました。しかし今回はほぼひっくり返り、福島選挙区以外は全て敗北(1勝7敗)しました。もちろん他の政策の影響もあり得ますが、コメ政策にも賛成が得られなかったとみられます。

 山下氏は、「石破総理の政策にはミスがあったのではないか」と主張します。今年4月に改革派と目される小泉さんが農水大臣に就任し、市場への備蓄米の放出を進めました。山下氏によると、「備蓄米で市場をじゃぶじゃぶに」といった小泉氏は、消費者の方を向いているというメッセージであり、農家をどのように保護していくかというメッセージがあまり見えてこなかった。これが選挙結果に繋がったのではないか、という見立てです。