7月23日、石破総理はトランプ政権との関税交渉で合意し日本への相互関税は8月1日から発動するとしていた「25%」から「15%」に引き下げられることになったと説明。急転直下で合意となった関税交渉について日本総合研究所・藤山光雄氏と、同志社大学大学院・三牧聖子教授とともにお伝えします。

◎三牧聖子:同志社大学大学院教授 専門はアメリカ政治・外交 国際関係

◎藤山光雄:日本総合研究所 関西経済研究センター 所長 専門分野は地域創生・地域経済

15%合意 日本“お手柄”といえるのか?

 関税交渉の合意について、トランプ大統領が自身のSNSに投稿した内容がこちらです。自身の功績を強調するような内容になっているのが見て取れます。

【トランプ大統領のSNSより抜粋】
「おそらく史上最大規模の合意でしょう。私の指示のもと、日本はアメリカに5500億ドル(日本円で約80兆円)を投資し、その利益の90%をアメリカが受け取ります」

 「おそらく最も重要なのは、日本が自動車やトラック、米、その他の農産物などを含む貿易に対して、自国市場を開放することです。日本はアメリカに対し15%の相互関税を支払います」

2.jpg 今回、日米間で合意された内容をは大きく3つに分けられます。

①日本への相互関税&自動車関税は15%
②日本はアメリカに5500億ドル(約80兆円)投資
③日本は自動車や米などの貿易を開放
20250723_kanzei-000020568.jpg ―――合意内容について、どのような印象ですか?

 (三牧教授)「②アメリカへの投資 ③市場開放 詳細がまだわからないのですが、トランプ大統領が最もこだわってきた自動車関税が15%に下がった。そして輸出の台数制限もないというところで、日本としても若干胸をなでおろすような内容だったと思います」

 (藤山氏)「合意も何もなければ8月1日から25%になり、自動車はすでに25%になっていたわけですが、そこがとりあえず15%になったという点は安心材料」

―――15%の合意は日本側としては“お手柄”といえる内容なのでしょうか?

 (三牧教授)「22日までに合意が成立していた国はわずか3カ国で、ベトナムやインドネシアにはそれぞれ20%、19%の関税がそのまま残りました。石破総理も強調されていましたが、そうした国より貿易赤字をアメリカが抱えている国でありながら、15%を勝ち取ったというのは、日本の交渉が実ったところはあったと思います」