■失言の本質は「政治家として中身がないこと」


なぜ政治家の失言は繰り返されるのか。田中角栄元総理の秘書を23年間務め、半世紀以上にわたって永田町をつぶさに見てきた朝賀昭さん(79)は、次のように分析する。

「パーティーに来てくれた人に対するサービス精神っていうのかな。笑いをとることがお土産みたいな、錯覚をしているんだよね。本来であれば聴衆をうならせるような演説ができればいいんだけど、それができないから慣れない“落語”をやって失敗する。要するに、そういう政治家は中身がないってことですよ」

朝賀さんが秘書として仕えた田中元総理は、独特のダミ声と巧みな話術で知られたが、演説のベースには自身の原体験があったという。

「克雪(雪の被害や問題の克服)とか貧乏人の苦労とか戦争の怖さ。子供の頃からの原体験があるんだよね。演説ってのは、上手い下手は別として、真実を語るというのかな。それが共感を生む。自画自賛するようなスピーチも人の心に響かない