「だいたい法務大臣は朝、死刑のハンコを押しまして、それで昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職なんです」

失言で法務大臣を“更迭”された自民党の葉梨康弘衆院議員。葉梨氏は大臣就任から間もない今年9月、BS-TBS『報道1930』に出演したが、放送後も楽屋に残って旧統一教会元2世信者の訴えに熱心に耳を傾けていた。筆者はその様子を好意的に眺めていたのだが、今回の失言はあまりにもひどい。法務大臣経験者の1人は「死刑については軽々しく話さないものだ」と憤る。

■失言が多発する「同僚議員の政治資金パーティー」

失言が直接の原因で更迭・辞任に追い込まれた例では、東日本大震災を「まだ東北でよかった」と発言した今村雅弘復興大臣(2017年4月)、「復興より議員が大事」と発言した桜田義孝五輪担当大臣(2019年4月)などが記憶に新しい。葉梨氏もそうだが、いずれも同僚議員の政治資金パーティーでの失言だ。

閣僚ではないが、筆者の記憶に強く残る失言がある。十数年前、ある自民党議員のパーティーを取材した時のこと。現職大臣に続いて登壇した派閥会長の発言に唖然とした。

「彼は頭脳明晰。政策通で選挙も強い。将来の日本のリーダーになることは間違いない。ただただ残念なのは…背が足りない。もう少し背が高ければパーフェクトだった」

会場がしらけた笑いに包まれる中、身体的特徴を指摘された議員は、顔を紅潮させたまま固まっていた。この派閥会長は官僚時代のパリ勤務が自慢だったが、発言に“フランスのエスプリ”は微塵も感じられなかった。