日本被団協に「ノーベル平和賞」を授与したノルウェーのノーベル委員会。そのトップが初めて広島市を訪れました。
ノーベル委員会のフリードネス委員長が22日、広島市の松井市長と面会し、平和賞のメダルのレプリカを手渡しました。メダルは2年間、貸与されるということです。
ノルウェー・ノーベル委員会のフリードネス委員長、40歳。
東京で開かれる核軍縮の催しに出席するのにあわせて初めて広島を訪れました。

去年10月。「日本被団協」のノーベル平和賞受賞を発表したのがフリードネス委員長でした。被団協の受賞理由は、核兵器の非人道性を訴え続け、「核のタブー」確立に貢献したこと。核兵器の脅威が迫る中、フリードネス委員長は、「被爆者は世界が必要とする光」だと称えました。

去年12月のJNNのインタビューでは「被爆者の証言を受け継いでいこう」と訴え、「近い将来、広島と長崎を訪れたい」とも話していました。
フリードネス委員長は松井市長に、ノーベル平和賞のメダルのレプリカを手渡しました。2年間、広島市に貸し出すということです。市によりますと、委員会からは「受賞者以外にレプリカを貸与するのは、特別な対応だ」と言われたということです。

「『核のタブー』を守る方法を学ぶために来た」と話した委員長。松井市長は、「暴力ではなく対話で平和を作り出す環境作りを一緒にしていきたい」と答えました。
メダルのレプリカは、現在、原爆資料館で展示していますが、8月末には、県被団協に返却することが決まっています。広島市では、貸与されたレプリカを、9月から資料館に展示する方向で調整するということです。
続いて委員長は原爆資料館を見学。資料館では原爆で破壊された様子を再現するホワイトパノラマの前で広島平和文化センターの香川理事長の説明に熱心に耳を傾けていました。

芳名録には「広島という平和の特別な記憶の地ですべての犠牲者と被爆者に敬意を表する」と記しました。
ノーベル委員会 フリードネス委員長
「原爆資料館で目にしたストーリーや写真、過去から現在に至る被爆者の証言にひとりの人間として心を揺さぶられました。核兵器は絶対に二度と使われてはならないと強く感じさせられました」

フリードネス委員長は、このあと被爆者らと懇談し、長崎へ向かいます。27日には上智大学で開かれる核軍縮の催しで講演する予定です。