「売れる車」のカギは?

リストラで固定費を減らした次に来るのが「売れる車を作り」キャッシュを増やすことだが、売れる車のカギとなるものは何なのかー
入山さんは、「ハイブリッド」だと考えている。
『早稲田大学ビジネススクール』教授 入山さん:
「中長期的にはSDVや自動走行、完全なバッテリーによる電気自動車だが時間がかかる。電気自動車も中国だけは例外だが、思ったほどのスピードでは世界に浸透していない。なのでこれから5年、もしかしたら10年ぐらいの主力はハイブリッドになっていくだろう。ただ日産はずっとEVに全振りしていたので、弱い可能性がある。ホンダとの提携をより深めて、ホンダからハイブリッド技術をもらう形で自社のブランドで車を作っていくようなことが想定できる」
自動車メーカーが生き残る「2つの戦略」
では、その先の未来はー
自動車メーカーが今後生き残るための戦略は「中長期的には2つの方向しかない」という。

『早稲田大学ビジネススクール』教授 入山さん:
「1つは既存の様々なアセット(人材、ノウハウ、ブランドなどの経営資源)を捨ててでも、“未来に向かって投資”をしていく。例えば自動走行や電気自動車への投資。ただ従業員やサプライヤー、ディーラーなど裾野が広い産業なので、言葉は悪いが、そことの関係をどう断ち切っていくかというのが大きな課題。テスラの強みの1つはインターネットで直販しディーラー網を持ってないこと。そういうことを日本の自動車メーカーができるのか、ということ」
そして、自動車メーカーが生き残るための戦略2つ目はー
入山さん:
「大胆な意見かもしれないが、“自動車を諦める”。今後自動車はコモディティ化(付加価値での差別化がなくなり一般化すること)が予想されるので、完成車メーカーをやっていても利益が取れない可能性がある。これはいきなり来るわけでなないので、その間に“自社の技術が使え、今後とても伸びる領域”に新しく投資をすることがあり得る」
その一例として挙げたのが、『ホンダ』のロケットの開発。最近開発したロケットは「スペースXに匹敵するぐらいの性能・着陸の能力を持っている」と話す。
入山さん:
「ホンダは内燃機関の会社。オートバイ・自動車で電気自動車化が進んでも、ロケットには内燃機関が絶対残る。宇宙産業は確実に伸びるので、むしろロケットにもっと振っていくみたいなことを色んな自動車メーカーが考えていく時代なのではないか。長期のビジョンと戦略、そしてそこに思い切って投資をする胆力があれば、新しい活路で生き残れる自動車メーカーもないわけではない。ただその道筋はだいぶ分かれてくると思う」
(BS-TBS『Bizスクエア』2025年7月19日放送より)