本当の姿は“風”でなく“組織”だった

参政党といえば、SNSを駆使し動画を拡散させる空中戦が得意なイメージだが、議席を伸ばした理由はそれだけではなかった。実は、地道な地上戦を展開していたのだ。

2020年に結党して以来、参政党は衆院選の全国の小選挙区に政党支部を設置してきた。その数は、今や287まで増えた。小選挙区は全国289選挙区なので、ほぼ全ての選挙区に支部が設けられた形だ。

政党カラーのオレンジ色が印象的な愛知県連本部を訪ねると、決して広いとは言えない室内に足の踏み場もないほど段ボールが積まれていて、中には候補者のビラがびっしりと入っていた。愛知県には16の小選挙区があるが、それぞれの政党支部向けに用意されたものだった。

参政党は、この各政党支部を拠点に党員が一軒一軒にポスティングしたり、タウンミーティングを開催したりして、同志を増やしてきたのだ。ポスターは、アニメやドラマ風など親近感のあるタッチで製作されていて、政治参加のハードルを下げる工夫も見られた。間口を広げ、各地域に根ざす、まさに草の根活動が奏功したのか、全国の党員はこの3年間で10倍の7万人を超え、地方議員は150人を超えた。

風頼みのブームに乗った政党にも見えるが、実はこの5年間で着実に政党として「組織力」をつけ、足腰を鍛えていたのだ。ここにこそ、参政党の今があると感じた。