モンゴル人の生活を支える日本の無償資金協力

モンゴルが1990年に社会主義体制から市場経済体制に移行したことを機に、日本は多くの無償資金協力を行い、インフラなど整備してきた。両陛下が立ち寄られたチンギス・ハーン国際空港、ウランバートル市の学校、モンゴル日本病院に加えて、人々の生活を支える水の供給施設も日本の援助で建てられた。

陛下が訪問した「ガチョールト水源」。ここは、21本の取水井戸から水をくみ出し、ウランバートル市の北部の3地区に水を供給している。モンゴルでは年間降水量が日本の7分の1しかなく、「Water is GOLD」と言われるほど貴重だ。水問題をライフワークとする陛下はこの施設を訪れ、ヘルメットを被って貯水施設に上り、取水井戸を遠くに眺めた。

陛下
「あれが井戸ですね」
「この水源施設はどんな区域に水を供給していますか」

貯水槽の上から水源を眺められる陛下。
陛下が眺められた景色。平原にポツポツと立つ青い四角の建物が取水井戸。

説明者によると、この水源から汲み上げられた水はウランバートル市北部の3つの区に供給されていて、いずれもモンゴルの伝統的なテント式住居が多い「ゲル地区」だという。

近年は、ゲル地区にも再開発でマンションが建ち始め、水の供給が大きな課題となっているそうだ。水道管が通っていない地域には、共同貯水場まで水を汲みに行く場合があるという。ウランバートル市民の生活に欠かせない水を日本の支援が支えている。そう説明を受けた陛下は、嬉しそうにこう話された。

陛下
「良いプロジェクトが行われて嬉しく思います。
「その成果を活用していただいている皆さんの努力にも感謝いたします」

日本の支援でモンゴルの人々の暮らしが豊かになっていることを実感された様子だった。

今回、両陛下は、日本とモンゴル両国の架け橋となってきた人々との交流や、つながりの深い施設を多く訪問された。両陛下に同行して、二つの国は、遠く離れているが、人と人とのつながり、国と国とのつながりが想像よりもずっと大きいことに、私は驚いた。

両陛下の訪問を契機として、日本とモンゴルのさまざまな友好関係にスポットがあたり、ますます日本との絆が深まっていく。

(TBSテレビ 社会部・宮内庁担当 米田祐輔)