陶芸技法の釉裏銀彩(ゆうりぎんさい)に新境地を開いた九谷焼の陶芸家・中田一於(なかだ かずお)さんが、新たに国の重要無形文化財保持者=人間国宝に認定されることになりました。石川県内の人間国宝保持者は11人目です。

九谷焼の五彩に着想を得た「淡青釉(たんせいゆう)」と呼ばれる淡い青色に、カラスノエンドウとパンジーが銀彩で施された涼やかで美しい鉢。

石川県小松市在住の陶芸家・中田一於さん(76)の作品です。

釉薬(ゆうやく)を施す前に絵付けを行う技法「釉下彩(ゆうかさい)」の分野で初めて人間国宝に認定されました。

中田一於さん「(人間国宝認定は)本当に長く待ちくたびれたというか、そういうことがあったもんですから、本当にうれしかったですね。やっとという思いですね。ありがたかったです」

三代・德田八十吉に師事し、色釉(いろぐすり)と銀彩の融合を模索してきた中田さん。

釉下彩の中でも生地に銀箔を切り貼りし、透明な釉薬で覆って焼き上げることで銀の紋様が美しく浮かび上がる釉裏銀彩の技術を確立した第一人者です。

中田一於さん「貼ってるときは本当に何も考えてないですよ。一生懸命精一杯貼るだけのことで」