大切な“家族”が長生きするためにできること

近年、「ペット」から「家族」へと、人と動物の関係性は大きく変化している。有藤先生は、その変化に伴い動物医療の在り方も大きくシフトしてきたと語る。
「昔は、犬も猫も外で飼われ、病気になってから病院に連れていくのが普通でした。でも今は室内で一緒に暮らし、ワクチンや健康診断も当たり前になってきました」。
かつては血液検査だけでも“健康診断をした”という感覚だったが、今ではエコーやレントゲンを含めた精密なチェックが求められるようになった。さらに、病気を見つけることよりも「病気にさせないこと」への意識が高まっている。
「食事管理や口腔ケア、皮膚のケアといった予防的な取り組みが大切です。例えば歯。清潔に保って、できるだけ抜かずに済むようにする方向へと変わってきています」。
それは動物たちが室内で人間と密接に暮らすようになったことと無関係ではない。
「一緒に室内で過ごす以上、歯や皮膚の清潔さを保つことが求められます。寄生虫もいない状態が当たり前で、毛づやも良くフケもない。病気などで難しいケースもありますが、できるだけ清潔に保てるように意識することで、人と動物の距離はもっと近づけるはずです」。
癒やしや安心感など、動物たちは私たちに多くを与えてくれる存在だ。その命と真摯に向き合い、健やかに共に生きていくために、私たちにできることはまだまだある。