飼い主さん必読!動物病院あるある

24時間体制で診療を行っていると、思わぬ「動物あるある」や、夜間診療ならではの“裏のドラマ”にも遭遇する。
「例えば初めて猫を飼ったご家族が、発情期のサインに驚いて駆け込んでくることがあります。生後5か月くらいのメス猫が、急に変な声で鳴き出して、バッタみたいな格好で足踏みをする。それを見て『うちの猫、変なんです』って半泣きで来院される方もいます。こちらとしては『発情期ですね』とすぐ判断がつくのですが、初めての方には驚きですよね」。
他にも、ハムスターが冬眠したのを見て「死んでしまったかも」と慌てて診察に訪れるケースもあるという。体温をゆっくり上げていくと動き出すことも多く、ご家族と一緒にほっと胸をなで下ろす場面も。
中には、診断に悩まされた“珍事”もあったのだとか。
「夜間に来院した犬が、フラフラして立てない。神経の異常か発作かと思って検査したものの異常は見つけられなくて。すると愛玩動物看護師さんが『このワンちゃんお酒臭いです』と気づいて、ご家族によくよく聞いたら倒れた一升瓶の日本酒を、犬が舐めてしまっていたんです」。千鳥足になって焦点が合わず、まさに酔っ払っている状態だったというわけだ。点滴すると数時間後には回復したそう。
「まさか犬が酔っているなんて思わなくて、最初は本当に驚きました。でも人間と一緒で、酔うと眠そうな目になり足元もおぼつかなくなるんです。夜間診療を始めたばかりの若い頃に遭遇したので、強く記憶に残っています」。
夜間診療ならではの“人間模様”もある。ある晩、ゴム製品を誤飲した愛犬を連れて、10代後半の学生が駆け込んできた。
「『変な物を食べてしまって』と泣きそうな顔でした。事情は明かせないけれど親には内緒にしてほしいと頼まれて。誤飲はよくあることですが、そうした背景に人間関係が垣間見えるのが夜間ならではですね」。
命と向き合う夜間救急の現場には、動物たちのケアだけでなく、人間の数だけストーリーがある。24時間体制の動物病院ならではの光景かもしれない。