体調不良のはずの医師が往診に現れる「私が利用されたのではと」

 へき地医療を支え続けてきた診療所から入院病床が消えるという危機。取材を続けていると、ここで“思わぬ事態”が。体調不良のはずの中村真人医師(68)が住民の往診に現れたのです。
 (患者)
 「私も心配して。もしも先生が入院してたりしたらここにおれへんから、心配してた。よかった」

 一体どういうことなのでしょうか?
 (南丹みやま診療所 中村真人医師)
 「通院のために休ませてもらっていたくらいのことで、体調不良で休んだことは1回もないです。私を理由に報道すれば患者さんも反対するわけにはいかないということで、私が利用されたのではないかというふうに個人的には思っています」

 中村医師によりますと、市は経営の悪化を理由に入院病床の休止を検討。中村医師は反対しましたが、逆に市は中村医師の体調不良を休止の理由にしたというのです。
 休止が発表された議会で示された「診療所の経営状態の資料」には次のようなことが書かれていました。

 【資料に書かれた内容】
 『入院診療機能を廃止することが、最も収支改善効果を期待できる』

 収支改善が目的なのであれば入院病床は休止に留まらず、そもそも廃止が決まっているのではないかと中村医師は考えています。

 (南丹みやま診療所 中村真人医師)
 「まず1回施設や入院病床を閉めたらなかなか再開なんてできないです。人を集めることもできないから、閉鎖はできても再開はなかなか難しいことだと思います。でも(市は)そのことは絶対言わないでしょ?」
 入院病床は今後再開されるのでしょうか。取材班は市長にインタビューを申し込みましたが、市は書面で回答しました。

 【南丹市の回答内容】
 『今回の休床と「経営診断」が直接関係してはいませんが、今後、検討することとなります。再開は、未定です』