診療所の運営をめぐる問題は過去にも

 実は、取材班がこの診療所を取材するのは今回が初めてではありません。

 (住民説明会で発言する住民 去年3月)
 「美山診療所をぜひ充実させて、住民が安心して安全に暮らせる施策にしていただきたい」
 「全てが決まった上でその報告だけを聞くというのはいささか違うのではないか」
 去年3月、診療所の運営方針をめぐって町は揺れに揺れました。経営悪化により診療所は市の直営になり、無料送迎サービスは廃止され、職員の数もほぼ半減するなどサービスは大きく低下。そんな中でも住民たちの猛反発を受けて守られたのが入院病床だったのです。

 診療所を普段利用する住民からは次のような声が聞かれました。

 (住民・96歳)
 「(Q入院病床が休止になるかもしれないが?)それが一番困りますね。年寄りは何があるかわからないので」
 (住民・89歳)
 「なくなったら、子どもといっても遠いし、大阪だし。年寄りなので1週間とか入院することもあるかもしれませんし、なくなったら困りますね」
 南丹市の面積の約6割を占める美山町では、診療所まで車で30分以上かかる地域も。入院病床が休止になれば約1時間かけて隣町の医療機関へ行くことを余儀なくされます。