特集は復興の現在地です。東日本大震災の津波被害を受けた宮城県七ヶ浜町で、地元の住民たちが避難経路や避難にかかる時間を把握することができる「逃げ地図」を作りました。震災の教訓や土地勘を活かして今後起こりうる大津波に備える取り組みを今野気象予報士が取材しました。

6月、震災について学んでいる東北学院大学の学生が七ヶ浜町を巡りました。

渡邊十三生さん:
「この家では一人亡くなっている。あとこちらも。第一波来た時に2階にいて大丈夫だったが、下におりてそのタイミングで2波目でやられてる。私の同級生です」

案内したのは七ヶ浜町菖蒲田浜地区の区長、渡邊十三生さん(66)です。

七ヶ浜町菖蒲田浜地区 渡邊十三生区長:
「(写真を見せながら)我が家。うち一軒残してあとみんなここの所、全部がれきになってる」

海に面した菖蒲田浜地区。現在は整備された渡邊さんの自宅周辺ですが、震災当時は津波やがれきが家の1階に流れ込みました。

東北学院大学の学生:
「写真や当時の話を聞くことで当時の経験を伝えてもらえて、津波は恐ろしいものだなと思いました」

町によると、震災による菖蒲田浜地区の死者・行方不明者数は34人です。

今野桂吾気象予報士:
「震災当時、あの海から津波が押し寄せました。私がいま立っているのは、海抜10メートルほどの高台です。津波によって押し曲げられたガードレールの生々しい痕跡が残っています」

菖蒲田浜地区に到達した波の浸水高は12.1メートルでした。震災を踏まえ宮城県は2022年、最大クラスの津波が発生した場合の新たな浸水想定を公表しました。それによりますと、菖蒲田浜地区は震災の時と同様に標高12メートルほどの高台も浸水するおそれがあります。