【キャスター】先月3日、台湾東部沖が震源のマグニチュード7を超える地震が発生してからもうすぐ2か月です。きょうは被災地の現状を現地で取材した大槻記者と一緒にお伝えします。【大槻】私は今月19日、震源に近く被害の大きかった花蓮(かれん)市を取材しました。花蓮市は台湾の東海岸にあり、人口10万人ほどの町です。私は瑞芳(ずいほう)というところから列車で花蓮に入ったのですが、市内中心部にも地震の爪痕が残されていました。
先月3日に台湾を襲った地震では、建物の倒壊や落石などでこれまでに18人が死亡し、2人が行方不明のまま、1000人以上が負傷しました。⇔大槻リポ「瑞芳駅から列車に乗って花蓮に向かいます。花蓮に向かう道は地震で通れなくなっているところもあるようなので、今は列車で行く人が多いそうです」花蓮は特急列車で台北からだと2時間半余り、瑞芳からは2時間弱で着きます。⇔大槻リポ「花蓮市、花蓮駅に到着しました」⇔「ニーハオ!」地元で消防士をしている陳秋銘(ちん・しゅうめい)さんに案内してもらい、花蓮市内を取材しました。まず案内してもらったのは、十数階建ての建物の解体現場です。⇔大槻リポ「花蓮市中心部にあるホテルですが、4月23日の地震で大きなダメージを受けて解体せざるを得なくなったということで、今解体作業が行われています」この建物はホテルで、先月3日の地震には耐えたものの、その後、先月23日に起きた震度5弱の地震で内部が壊れてしまいました。⇔陳さん「大地震だと分かって消防局に行き災害対策本部に入った」倒壊の危険があり、取り壊し作業が行われていました。⇔ポーズ⇔大槻リポ「花蓮市のメイン通りのすぐ脇にあった大きなビル、日本でもニュースで取り上げられていたビルの倒壊現場ですが、もう更地になっています。ポールで囲まれた中に建物が建っていました」一方、この場所には、先月3日の地震で倒壊し日本のニュースでも報じられていた「天王星ビル」という複合ビルが建っていました。すでに解体されていましたが、すぐ向い側のホテルは今も地震の影響で立ち入り禁止のままとなるなど地震の爪痕が見て取れました。
【キャスター】まだ建物の解体工事が行われているのですね。【大槻】先月3日の地震の後しばらくは余震とみられる揺れが続いていたそうですが、電気や水道、道路といったインフラは市内中心部はほとんど復旧しているということでした。一方で、大きく変わったのは『町の賑わい』だそうです。
⇔大槻リポ「花蓮市のメイン通りです。きょうは日曜日です。以前だと観光バスが途切れなく入ってきていたそうですが今は見当たりません」地震の前と比べ、人出にも大きな違いがあると言います。Q前はもっと人通りがあった?⇔花蓮市在住陳秋銘さん「人の数と車の数は10倍くらいあった」「前は花蓮市は観光客が多いところで賑やかで、食事をするにも駐車が大変だったが今は(空いていて)駐車がとても便利になってしまった」車は走っているものの、観光客や観光バスはほとんど見当たりませんでした。土産物店などが並ぶ通りを歩いてみても・・・⇔大槻リポ「誰もいないですね」「ガラガラですね、どこも」⇔花蓮市民「観光客もかなり減っている。商売する人も大変」
【キャスター】観光客が来なくなっているのですね。【大槻】花蓮市のある台湾東部はもともと豊かな自然が特徴です。特に花蓮市中心部から車で北に30分ほどの「太魯閣(たろこ)国立公園」は人気のスポットで、世界中から観光客が訪れていました。今年3月の公園内の写真をお借りしてきました。美しい渓谷の中を歩きながら壮大な大自然を感じられる場所で、花蓮市はその玄関口として、ツアーの団体客などが集まり賑わっていました。しかし、ここが地震による落石や土砂崩れの影響で立ち入り禁止になってしまいツアーはほぼ全て中止され、花蓮市内から観光客の姿が消えたと言います。【キャスター】宿泊業や飲食業など観光に携わる人たちの生活にも影響が出ているのではないですか。【大槻】そうなんです。花蓮市内で宿泊施設を経営する男性に話を聞いてきました。
⇔「ニーハオ」花蓮市内でホテルを経営する劉嘉君(りゅう・かくん)さんです。地震の影響を肌で感じています。⇔花蓮市内でホテルを経営劉嘉君さん「仙台?太魯閣峡谷は仙台でいう松島という感じ」太魯閣国立公園が閉鎖していることに加え、地震で危険なイメージが広がり、予約客の9割がキャンセルになったと言います。5つの部屋がありますがこの日も予約は1部屋だけ。⇔劉さん「この部屋は3週間客が入っていない」劉さんは、観光客が戻るにはかなりの時間がかかるだろうと話していました。夜市に行けば町の状況がよく分かると言われ行ってみました。⇔大槻リポ「花蓮市の夜市です。以前はかなり人がいたということですが、見ての通りがらんとしていてしまっている店もあります」日曜日の夜にしては人通りは少なく、飲食店にも空席が目立ちました。⇔夜市の店の人「(客は)半分以上減った」「やっぱり元の状態に戻ってほしいが本当に災害だから仕方ない」
【大槻】花蓮市の夜市の様子をご覧いただきましたが、こちらの映像をご覧ください。台湾北部の基隆(きりゅう)市という町の夜市の様子です。こちらは花蓮市の取材の前日ですが、歩けないほど多くの人で賑わっています。【キャスター】賑わいの差が一目瞭然ですね。【大槻】花蓮市の劉さんの話では、こうした観光客の減少は花蓮市だけはなくさらに南にある台東(たいとう)市では地震の被害は少なかったものの、同じくツアーコースから外れてしまい観光客が来なくなってしまったそうです。【キャスター】私たちに出来ることは何かあるのでしょうか。【大槻】地元の消防士、陳さんは、実はコロナ禍の前に消防同士の交流で栗原市に来たことがあるそうです。宮城県民は東日本大震災の時に支援してくれた台湾への恩返しの気持ち強いと伝えたところ、こんなことを話してくれました。花蓮市在住陳秋銘さん「交流があれば、宮城県、仙台市の人がもっと花蓮市を知って、花蓮市の人はもっと宮城を知って両方良い関係になる」「花蓮で今地震があって日本人の恩返しの気持ちはありがたいが、災害の時だけではなく日常的な交流が多くなればより良い」
【キャスター】交流を持ちお互いを知ること、そして交流を通して花蓮市の復興を支援できればいいですね。【大槻】そうですね。被災地にはまだ地震の影響が色濃く残っていますが、町を元気づけようと神輿のようなものと一緒に住民が練り歩くイベントも行われていて人々は復興に向け前を向いて歩き出そうとしています。まず被災地の現状を知り、周囲の人に伝えることから始めようと感じられた花蓮市での取材でした。【キャスター】ここまで台湾東部沖での地震について大槻記者とお伝えしました。
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