■福岡ソフトバンクホークスの2軍本拠地「筑後市」のケース
いまから9年前の2016年、福岡ソフトバンクホークスが2軍の本拠地を移転した際、34の自治体の中から“誘致”を勝ち取ったのが、福岡県の南部に位置する、人口4万9000人ほどの『筑後市』でした。その決め手となったのが…
・筑後市ホークスファーム連携推進担当 水田進係長
「1つは、交通アクセスの良さ。特に新幹線駅が、いま球場がある所から徒歩3分の位置にある。それからファーム施設に隣接して選手が育成される環境に最適な自然豊かなところがありますので、よく言えば自然豊かな、悪く言えば何もないという所に建ててますので、そういった所も選ばれた一因なのかなと思います」
2軍施設の誘致では、5万人弱の筑後市の人口を大きく上回る7万6000を超える署名を集めるなど、周辺に住む人たちも巻き込んだ誘致活動が実を結びました。
その一方で、球団との交渉では苦労も多かったそうです。
・筑後市ホークスファーム連携推進担当 水田進係長
「球団の条件は、4万平米から6万平米の土地で20年間利用ができる土地を自治体から提案してくださいということでした。土地代に関しましては無償でお貸しすると」
そうした誘致活動が実り2016年にオープンした『ホークス・ベースボールパーク筑後』。その効果は…
・筑後市ホークスファーム連携推進担当 水田進係長
「それまで筑後市の観光入込客数が徐々に減ってきたところにファームが移転してきて、それがまたV字回復で、100万人に乗った形で、観光入込客数の効果は非常に大きいところがあります。ホークスがある町ということで選んでいただいてる」
堀キャスター)駅から近いことと、人口を超える署名が集まっているから、恐らくそのマチだけじゃなくて、そのエリアで呼び込んだ感じですね。
堀内キャスター)いつもはライバルのホークスですけれど、この時ばかりは力を貸してもらいたい、そんな気にもなりますね。今回、候補地になっている札幌圏の自治体からも既に、この「筑後市」には問い合わせが来ているということです。
■誘致成功のポイント…交通アクセス、税優遇などの条件、高め合える関係性
改めて誘致成功のポイントをまとめますと、筑後市の水田さんによりますと、1つは交通アクセスの良さということです。筑後市も、駅から歩いて3分の立地。それから、広さや税優遇など条件に合った土地かどうか。そして、球団と自治体の双方が高め合える関係性。
堀内キャスター)お互いにメリットがあるというか。例えば、少年野球のチームと選手たちが交流をしてくれたりとか、市民や子どもが使えるような野球関連の練習施設を作ったりとか。あとは、若い観光客の方が増えたということです。
ですね。
堀内キャスター)こういったことを、問い合わせのあった札幌圏の自治体にもお話をしているんだそうです。
堀キャスター)相思相愛になるためには越えなければならないハードルがいくつかありそうですね。
鈴木徹さん)結構なハードルですよね。土地の無償対応だとか、税金の優遇だとか。これは簡単なハードルではないなと。ですが誘致するメリットがあるということなんですよね。考えてみたら2軍戦とはいえ1試合数千人…年間数万人から数十万人、それだけのお客さんが、特に北海道だと選手もファンも宿泊が必要になりますからね。そういう落とすお金も大きいですし、後は1軍に比べると敷居が低いからマチのチームを応援するという一体感を醸成するのでもいいんじゃないでしょうかね。そういうメリットがあるから、いろいろ色々大判振る舞いしてもいいのかなと。
堀キャスター)選手との距離感はもっと近くなるかもしれませんね。2軍で何年間か頑張った選手が、今度エスコンフィールドで活躍しているのを見たら、やはり感動するじゃないですか。「あんなに泥んこになって頑張っていた選手がこんなスター選手になって…」と思ったら。もっと思い入れ強くなりますしね。
堀内キャスター)それは球団が目指しているマチに溶け込んだ、施設だけじゃないっていう要素がまさにそういったところにあるんじゃないかなと思いますね。
堀キャスター)ファイターズの2軍施設は2027年に着工で、2030年頃の開業を目指すということで、まずはどこのマチになるのか、注目です。