ウクライナ南部・ミコライウ。激しい軍事攻撃を受けた“最前線の街”をJNNの須賀川拓記者が緊急取材。クラスター爆弾が使われたとみられる現場の様子を報告する。
■オデッサの“盾” ミコライウの惨状
ロシア軍の包囲を受けるマリウポリから西へ約400キロ。ウクライナ南部の都市ミコライウに、3月25日、JNNの取材班が向かった。ここもロシア軍の激しい攻撃を受けていた。
町の中心部にあるホテルでは。
記者:
「ロケットが直撃して滅茶苦茶になっています。3月21日、4日前にこのホテルに対してロケット弾が着弾したということです。5階建てですけれども、上3階分くらいの壁や柱が全部崩れて、ホテルの入口に崩れてきてしまっているんですね」
ホテルの支配人アルトゥルさん:
「爆撃を受けたとき、ホテルの中にいました。爆風で床に叩きつけられ、これは死ぬなとあきらめました。生き延びることができてよかったです」
ホテルだけでなく、病院も激しい攻撃を受けた。ロケットが着弾したとされる場所には大きな穴ができていた。
記者:
「3日前に着弾したということなんですけど、深さが2m以上、直径も5m以上ありますね」
当時、患者は全員避難しており死者や負傷者はいなかった。
なぜロシア軍はこの街を狙うのか。ミコライウはウクライナ海軍の司令部機能がある要衝の街、オデッサの東側に位置しているため、オデッサの“盾”と呼ばれている。
■道路には不発のロケット弾が放置されクラスター弾の爪痕も
住宅街の道路には、飛んできたものの爆発せず、放置されたままのロケットがあった。
記者:
「よく見るとですね、弾頭というかロケット自体の尾翼みたいなのが地面につきささっています」
危険を周知するためか前後に大きな石が置かれていた。そして、不発弾のすぐ横を市民が通り過ぎる。
別の団地にはクラスター爆弾が投下されたとみられている。クラスター爆弾とは、ミサイルに収納された小さな爆弾が広い範囲にばらまかれる兵器だ。
記者:
「(地面に空いた無数の穴を指し)ちっちゃいのがもう本当に道路中、そこら中にありますけど、これはおそらくクラスター弾がさく裂した際にできたものなんだと思われます。ここもひどい被害にあっていますが、ここに投下された弾頭もクラスターだと言われています。(穴がいくつも空いた金属片に触れ)ものすごく細かい破片が金属のフレームを突き破っているんですね」
ウクライナ治安当局の男性に話を聞いた。
ウクライナ治安当局者:
「爆弾が落とされたのは近くに空軍基地があるからだと思います。ただロシアの攻撃は外れることが多いからか、爆弾は主に住宅地に落ちています」
男性に案内してもらい建物の中に入った。
記者:
「焦げ臭いにおいがまだだいぶ残っていますけど、壁も黒焦げですし、ここに住んでいたら、これはひとたまりもないですね」
窓が完全に破壊されて柱がむき出しになり、壁にも大きな穴が開いていた。