日本の家庭にいるシバンムシは?

ー筆者が、古いチョコレートの中にみつけたシバンムシは?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「シバンムシの仲間には、木材ではなく私たちの食品を狙う変わり者もいます」

「今回は、よく見かける2種類をご紹介しましょう(ちなみにこの2種類は音を立てません)」

「1種類目は、タバコシバンムシ。かつては、乾燥葉タバコの大害虫として恐れられ、今でも葉巻愛好家にとっては悩みの種です」

「漢字では『煙草死番虫』と書きます」【画像①】(※虫な苦手な方は閲覧注意)

【画像①】タバコシバンムシ…見覚えのある虫

「2種類目は、ジンサンシバンムシ(人参死番虫)」【画像②】(※虫が苦手な方は閲覧注意)

【画像②】ジンサンシバンムシ(見分けがつきにくいですが見覚えのある姿)

「ここでの『人参』とは、ニンジンではなく漢方薬に使われるチョウセンニンジンのことです」

「高価なチョウセンニンジンを食害するため、漢方薬店を泣かせる虫として『クスリヤナカセ』とも呼ばれます」

「これら2種類は、名前に『タバコ』や『ジンサン』とありますが、実際には乾燥動植物質を幅広く食害します」

「世界的に『貯蔵穀物害虫』として、食品業界ではよく知られた存在です」

「そして、家庭内でも決して他人事ではありません」

「乾麺・スパイス・ふりかけ・小麦粉・茶葉・乾燥野菜・果物・海藻・クッキー・ビスケット・チョコレート・ペットフード・畳・革製品・標本・剥製・動物や昆虫の死骸や糞など……乾燥している動植物質なら、ほとんど何でも食べてしまいます」

「ただし、穀粒そのもの(お米の粒など)は食べません」

「近年はネット通販の普及や長期保存食品の増加、さらには夏場の短期間での世代交代(約1か月で卵から成虫)もありますし、住宅街でも簡単に見つかります」

ー未開封なら少々賞味期限が切れても大丈夫かと思っていましたが、家庭でも乾燥した食品を長期保存するときには注意が必要ですね。

「まさか自宅で虫が発生するとは思わなかったという例も耳にします」