■「ザンクトペテルブルクで違法カジノをやっていたという話が・・・」

民間軍事会社『ワグネル』創設者、エフゲニー・プリゴジン氏、61歳。プーチン氏、パトルシェフ氏と同じサンクトペテルブルク出身。レストランやケータリング事業を手掛けていた時、プーチン氏の夕食会に関わったことから“プーチンのシェフ”とも呼ばれるようになった。2002年には、プーチン氏とブッシュ元大統領との食事会が、プリゴジン氏の経営する水上レストランで催されている。


東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「プリゴジン氏は、ソ連時代に犯罪を繰り返し長く刑務所に入っていた人なんです。出所後にホットドッグ店をチェーン展開して大成功。そこから外食王に成りあがった。ブッシュ元大統領をもてなした水上レストランはプーチン大統領のお気に入りで誕生会開いたり、外国要人をもてなしたり、日本の森喜朗さんも首相時代にここでもてなされている。ホットドッグチェーンが当たったという話はどこまで本当かわからなくて、本当はサンクトペテルブルクで違法カジノをやっていたという話がある。当時プーチン大統領はサンクトペテルブルクの副市長だった。プーチン副市長の表の顔は違法カジノをどんどん潰す強面といわれていたけれど、一部のカジノは“袖の下”をもらってお目こぼしをするという共存関係にあったといわれている。2010年代に入ってからプーチン氏が軍の別動隊として民間軍事会社を作ろうとした時に“プリゴジン、お前やれ”と白羽の矢が立った。アメリカの大統領選に対して偽情報を流すような介入がありましたよね、あれもプリゴジン氏に任されてたとか・・・。表の戦略とは別の裏の戦略を担う責任者として活躍したんじゃないかと・・・」

小泉氏はプリゴジン氏を“違法作戦ネットワークの総元締め”と評した。つまりプーチン政権の“汚れ仕事”を引き受けてきたと言うのだ。そのプリゴジン氏が、今、表舞台に出てきて、実力者として振舞い始めている。