公務員に支給される「寒冷地手当」の基準が2024年に見直され、長野県内では長野市や中野市など14市町村が対象地域から除外されました。

不公平感を解消するため、県の人事委員会は、1人当たりの支給額を引き下げた上で、全県を対象に含めるよう阿部知事に勧告しました。

県人事委員会の青木悟委員長は4日、阿部知事に寒冷地手当に関する勧告の書類を手渡しました。

「寒冷地手当」は、寒さでかさむ燃料費や暖房費などの生活費を補う目的で、毎年11月から翌年3月までの冬の間に支給され、昨年度は最大で1人月1万7800円(世帯主・扶養親族ありの場合)が支給されました。


支給の基準は「勤務する場所」で、「最も寒い月の平均気温が0度以下、かつ最深積雪が15センチ以上であること」もしくは「最深積雪が80センチ以上であること」と定められています。

国の人事院勧告の対象の市町村で働く人に支給され、昨年度までは、南部の10市町村を除く67市町村が対象でした。

しかし、指標となる気象庁の「メッシュ平年値」が10年ぶりに改定され、2024年8月の人事院勧告で、長野市や中野市、佐久市、岡谷市など新たに14市町村が対象外となりました。


指標では豪雪地帯に近い中野市の最大の積雪がゼロと算定されるなど、実態とは乖離しています。

県の人事委員会は、国の改定に準じた場合、支給地域とそうでない地域の混在が著しくなり、不公平感がより一層強まるとして今年度以降の支給をどうするか検討を続けていました。

県人事委員会 青木悟委員長:「支給地域については全県とすることが適当」

きょう(4日)の勧告では、支給対象をこれまでの67市町村から「全県」に拡大。


支給額は、国の改定にならった場合の総額を超えない範囲にするため、今年度から段階的に引き下げ、2027年度からは最大で月1万4000円とします。


勧告を受けて阿部知事はー

阿部知事:「(国が)統計的に考えるものと、実際にその地域で暮らす方の実感の違いが出ているのではないかと思う。苦労して議論して方向づけいただいたと思うので、しっかり検討していきたい」

一方、動揺が続いているのは市町村の職員です。対象の67市町村では、国の基準に準じて条例を定めるなどし、職員に寒冷地手当を支給していました。


しかし、今回対象外となった長野市や中野市などの職員には今後、支給されない可能性があるのです。

長野市職員:「長野市はそうはいっても寒いので、暖房費とかも結構かかったりする。困ってしまうなという感じ」

長野市職員:「自分の生活費に充てている部分もあるので、今までもらえていたものがなくなるのは困る」


長野市議会は、6月定例会で、国に見直しなどを求めた意見書案を可決。
また、中野市議会でも同様の意見書が採択されていて、対象外となった自治体では、次の冬以降の支給をどうするのか、検討が続けられています。