夏の暑さが本格化する中、熱中症対策の新たな方法として注目されているのが「プレクーリング」です。厚生労働省も推奨するこの対策方法について、平地真菜気象予報士が詳しく解説します。

Q:プレクーリングって何ですか?聞き慣れない言葉ですが…
A:「プレクーリングとは、『作業前に体温を下げておく』という熱中症対策です。これからの季節、暑い中でどうしてもお仕事をしなければならない方も多いと思います。作業をすると体温が上がってしまいますが、プレクーリングで作業前にあらかじめ体温を下げておくことで、作業後の体温上昇を穏やかにすることができるんです」


Q:具体的にはどのような方法で体温を下げるのですか?
A:「手足の冷却がお勧めです。水温は10°Cから15°Cの水に、手足を10分程度つけることで効果が得られます。冷蔵庫の温度が2°Cから6°Cくらいですから、そこまでキンキンに冷やした水ではなく、ちょっと冷たいと感じるような水温というイメージです」

Q:冷たければ冷たいほど効果があるというわけではないのですね?
A:「はい、実は温度が低すぎると逆効果となってしまいます。手足を冷やすことで、手足の血管を通る血液が全身に回り、体全体の温度を下げることができるんです。10℃~15℃という温度と10分という時間がポイントです」

Q:熱中症対策として他に注意することはありますか?
A:「どんなに対策していても暑い日の作業は大変です。作業前にこういった手足の冷却を取り入れるとともに、休憩時間にも、ぜひプレクーリングを実践してみてください。こまめな水分補給や涼しい場所での休憩も忘れずに行いましょう」

Q:今年の熱中症の状況はどうなっていますか?「消防庁の速報値によると、7月に入ってから熱中症による救急搬送者数が急増しています。これから真夏の暑さが本格化するにつれ、さらに増加する可能性がありますので、しっかりとした対策が必要です」
Q:プレクーリングは誰でもできる対策ですか?
「はい、特別な道具や設備は必要なく、家庭でも職場でも実践できる手軽な方法です。特に屋外での作業や運動をされる方、高齢者の方には効果的な熱中症予防になります。作業や外出の前に10分ほど時間をとって、手足を冷やしてみてください」

暑さが厳しくなるこれからの季節、プレクーリングという新しい熱中症対策を取り入れて、安全に夏を乗り切りましょう。熱中症は予防が最も重要です。日頃からの体調管理と適切な対策で、健康的に暑い季節を過ごしましょう。