■被災地支援が縁で「はねこ踊り」の楽曲を制作
2011年3月11日に発生した東日本大震災。沿岸部を襲った津波で、石巻市は甚大な被害を受けました。音楽家仲間らと支援に乗り出した井村さんは毎年、大阪でチャリティーコンサートを開き、これまでに5400万円を超える義援金を届けてきました。

指揮者・井村誠貴さん:
「少しでも皆さんの笑顔になることって何だろうということはひとつあった。その中で私たちができることは、音楽という媒体なので」
支援活動の中で交流を持った石巻市の桃生中学校に足しげく通い、生徒に吹奏楽を指導。大阪に招待して一緒にコンサートもしました。そうして桃生地区に通う中で、はねこ踊りに出会います。

はねこ踊りは、神に豊作を感謝して奉納される豊年踊りです。凶作続きの中で、久しぶりの大豊作に喜んだ村人が笛や太鼓に合わせて歌い、はね踊ったのが始まりとされています。

指揮者・井村誠貴さん:
「自分でも予想しなかったきっかけが膨らむことは、すごくすてきです」
はねこ踊りに魅了された井村さんは、2018年、オーケストラ楽曲「はねこ幻想」を作りました。

曲を完成させてからは、自分が指揮をして石巻で演奏会を開くことを熱望していましたが、コロナ禍もあり、今月ようやく初演にこぎつけたのです。