男子400mハードル勢がオスロ、ストックホルムで白熱の連戦
世界歴代1~3位選手が好勝負を展開している種目が男子400mハードルだ。
オスロ大会では五輪&世界陸上種目ではない300mハードルが行われ、400mハードル世界記録(45秒94)保持者のK.ワーホルム(29、ノルウェー)が32秒67で優勝。世界歴代2位(46秒17)を持つR.ベンジャミンが33秒22で続き、世界歴代3位(46秒29)を持つA.ドス サントス(25、ブラジル)が33秒38で3位に入った。
前半はワーホルムが先行するレース展開が多いが、オスロの300mハードルはベンジャミンが先行した。だがオスロのワーホルムは、400mハードルではペースダウンをいかに抑えるか、という走りになることが多いホームストレートでスピードを維持。7台目(400mハードルの最終10台目の位置)で逆転すると、フィニッシュまでで一気に差を広げた。
「200mの距離で多く練習してきたので、ハードルを綺麗に越えられて、レイ(ベンジャミン)が近くにいても、最後のハードルを越えてから突き放せると思っていました。400mの距離では最後に失速しますが、300mの距離はかなり私に合っている。3日後には400mハードルでも、今日みたいに力強く走ります」
ワーホルムはオスロのレース後にこう話していたが、ストックホルムの400mハードルでは、終盤で失速する悪い方のレース展開になった。前半はリードを奪ったが9台目でベンジャミンに並ばれ、10台目で逆転されてしまった。ベンジャミンが46秒54で優勝し、ドス サントスが46秒68で2位、ワーホルムは47秒41の3位だった。
近年の五輪&世界陸上の金メダリストは、19年世界陸上ドーハと21年東京五輪がワーホルム、22年世界陸上オレゴンはドス サントス、23年世界陸上ブダペストがワーホルム、24年パリ五輪はベンジャミンと、3人の覇権争いが続いている。25年の決戦は9月、国立競技場で火蓋が切って落とされる。
日本勢では北口がオスロ大会優勝、村竹がパリ大会4位
日本勢ではパリ五輪女子やり投金メダリストの北口榛花(27、JAL)が、オスロ大会に優勝した。
5月3日の上海紹興大会は60m88で4位。5回目終了時の上位3人だけが投げられる、6回目の試技に進むことができなかった。オスロでも4回目終了時点で4位だったが、5回目に64m63を投げてトップに立ち、その記録で優勝した。
現地での海外メディアからの質問に、北口は以下のように答えていた。
「私は過去に何度も最後の投てきで、その日の最高記録を出してきましたから、今日の状況にも自信はありました」
そして東京2025世界陸上についても質問が出ていた。
「東京世界陸上は最大のモチベーションで、そこでビッグスローをしたいと思っています。私のキャリアの中でも、地元で世界陸上を戦う経験は最後になるでしょう。地元開催は私にとって特別な後押しになります」
村竹ラシッド(23、JAL)がパリ大会男子110mハードルに出場。13秒08(追い風1.1m)で4位に入った。優勝したT.カニンガム(26、米国)には0.08秒差をつけられたが、パリ五輪金メダリストのG.ホロウェイ(27、米国)には0.03秒差で競り勝った。
13秒08は泉谷駿介(25、住友電工)と、村竹の2人が持つ日本記録(13秒04)に0.04秒と迫るタイムで、今季世界8位タイ記録。海外レース、国際大会での自己最高タイムでもある。
村竹は予選でも決勝と同じ13秒08(追い風1.4m)のシーズンベストをマークしていた。昨年もダイヤモンドリーグ・パリ大会に出場し、予選1組を今回と同様1位通過したものの、脚の痙攣のため決勝を棄権していた村竹。今年は予選の1時間13分後に行われた決勝でもしっかり結果を出した。東京世界陸上のメダル獲得も夢ではなくなってきた。
【日本選手の6月のダイヤモンドリーグ戦績】
◇ローマ大会(6月6日)
◆サニブラウン アブデルハキーム(東レ)
男子100m8位・10秒31(追い風1.1m)
◆田中希実(New Balance)
女子1500m14位・4分05秒08
◇オスロ大会(6月12日)
◆北口榛花(JAL)
女子やり投1位・64m63
◇ストックホルム大会(6月15日)
◆田中希実
女子3000m11位・8分50秒18
◇パリ大会(6月20日)
◆村竹ラシッド(JAL)
男子110mハードル決勝4位・13秒08(追い風1.1m)
男子110mハードル予選1組1位・13秒08(追い風1.4m)
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は左から北口選手、デュプランティス選手

















