1)物価高騰が続く中、最も効果的だと考える対策を具体的にご提示ください。特に、消費税の見直し(減税・廃止・据え置き)や現金の給付策に関する具体的な方針と、その財源についてお聞かせください。
物価高騰はあらゆる商品・サービスに及んでおり、消費税の減税が最も効果的です。消費税の廃止をめざしつつ、緊急に一律5%に税率を引き下げます。一律5%への減税なら勤労者世帯の平均で年間12万円の減税で、食料品のみ非課税の場合の2倍の効果があります。一時的な減税では期間終了時に急激な負担増と消費の落ち込みが起きるので、恒久的な減税とし、さらに廃止をめざします。
減税の財源は国債に頼らず、大企業や富裕層への優遇税制をただすことなどで確保します。多額の国債を毎年発行し続ければ、金利上昇や利払い費の増加、インフレなどのリスクを招くことになり。責任ある政策とは言えません。
低所得者への現金給付を必要に応じて行うことは否定しませんが、一時しのぎにしかなりません。お金持ちも含めて全国民に現金給付するのは「ばらまき」であり、緊急策としては消費税減税が最も効果的です。加えて、物価に負けない賃上げと、年金などの引上げが重要です。最低賃金を時給1500円、手取り月額20万円程度にすみやかに引き上げ、1700円をめざします。地方格差をなくし全国一律最賃制を確立など、政治の責任で賃上げを推進します。「マクロ経済スライド」など年金を実質減額させる仕組みをただちに撤廃し、物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる、年金の引き上げを行います。
2)コメの安定供給のための具体的な政策をお聞かせください。
昨年来のコメ不足や価格の高騰は、需要量にたいして生産量が決定的に不足していたことが原因です。米の消費が毎年減ることを前提に生産計画をぎりぎりに抑え、農家に減反・減産を押しつけてきたこと、民主党政権が導入した所得補償を廃止し、米価下落を放置して米農家を疲弊させてきたことなど、生産基盤を弱体化させてきた長年の自民党農政の結果です。
備蓄米の放出で一部の店に安い備蓄米が一時的に並んだとしてもあくまでも緊急策に過ぎません。コメの安定供給には農政を根本から転換し、増産に乗り出す以外にありません。日本共産党は、米の需給や価格の安定に政府が責任を持ち、米需給計画は、気候や経済変動などで多少の需給ギャップが生じても米不足にならないよう、ゆとりある生産量を確保し、備蓄米も2倍の200万㌧に増やします。供給不足が生じたら備蓄米を機敏に放出し、過剰なときは買い入れを増やし米価を安定させます。大多数の農家が安心して増産に励めるよう、生産に要する経費と勤労者並みの労働報酬を保障する米価(農家手取り)を実現します。
3)現在の日本経済の最大の課題は何だと認識しており、その課題解決のために最優先で取り組む経済政策は何ですか。具体的に、いつまでに、どのような改善を目指しますか。
「失われた30年」と言われるような経済停滞で、成長しない国、賃金が上がらない国になってしまった日本経済の低迷を打開することが急務です。経済の長期停滞の大きな原因となってきたのは、大企業が株主の目先の利益を優先し、賃金の抑制、下請け企業への単価切り下げなど、「コストカット経済」を続け。それを政府も応援する政策をとってきたことです。
政府は、大企業への減税を繰り返し、それが賃上げや新たな投資につながるとしてきましたが、実際には、そうなっていません。大企業は4年連続で過去最高益を更新していますが、その利益は賃上げや投資にむすびつかず、配当と自社株買いを合わせて年に40兆円もの株主還元をしたうえでも内部留保が増え続け、23年度末で539兆円にも達しています。
「大企業を儲けさせれば、それが国民にも滴り落ちるはずだ」という「トリクルダウン型」の経済政策を転換し、暮らし優先で、大企業の内部留保を国民経済に有効に活用する政策に転換することが重要です。
4)経済政策の実施にあたり、財政健全化と経済成長のどちらに重きを置きますか。また、プライマリーバランスの黒字化目標など、具体的な財政目標について、その達成時期などについてもお示しください
どちらも重要です。日本経済の現状は、「どちらに重きを置くか」などと悠長な議論をしている余裕はありません。「経済成長優先」といって財政の状況をかえりみず大量の国債を増発するようなことをすれば、金利の急騰や利払い費の増加による暮らしの予算の圧迫、インフレの進行などのリスクが高まり、暮らしを破壊し、経済成長を阻害することになりかねません。一方、「財政健全化優先」として消費税増税や社会保障費の削減などを強行すれば、暮らしを痛めつけるだけでなく、景気を悪化させて税収減を招き、財政のいっそうの悪化につながりかねません。
物価高騰から暮らしを守り、経済の停滞を打破するために、消費税減税をはじめとした積極財政が必要ですが、その財源は国債増発に頼らず、大企業や富裕層への優遇税制をただすことなど、財政危機を悪化させない方法で確保すべきです。
経済政策が成功した場合にプライマリーバランスが改善していくこと自体は否定しませんが、「黒字化」の年限を決めて無理に推進するやり方ではなく、対GDP比で見た債務残高が減少していくことをめざすべきです。
5)少子化が加速する中、子育て支援策として、どのような抜本的な対策を講じられますか。
子どもの生まれる数が減り、人口減少社会になったのは、労働法制の規制緩和による人間らしい雇用の破壊、教育費をはじめ子育てへの重い経済的負担、ジェンダー平等の遅れなど暮らしと権利を破壊する政治が、日本を“子どもを産み、育てることを困難な社会”にしてしまったからです。
日本共産党は2024年9月に、「1日7時間・週35時間制」の社会へ進むことを国の目標に据え、賃上げと時短を一体にすすめる「自由時間拡大推進法」を提案しました。長時間労働の規制の強化と、人間らしく生きられる時間を確保するための労働時間の短縮を求めています。賃金は全国一律時給1500円に早急に引き上げるとともに、1700円をめざします。貧弱な中小企業支援予算を拡大し、大企業の内部留保に課税して5年間で10兆円の財源を生み出し、中小企業の最低賃金引き上げを支援することを提案しています。
女性の育休取得率は9割を超えていますが、男性はわずか14%であり、その5割超えが育休取得期間は2週間未満です。収入減少の不安が育休取得できない理由の一つになっており、育休中の休業補償は、1年間は休業前の手取りの所得を補償する水準に引き上げます。
夫婦が望む数の子を持てない一番の理由は、子育てや教育にお金がかかりすぎることという調査結果が出ています。高等教育の高い学費は、保護者の負担とあわせて、子どもが就職・結婚しても奨学金を返し続けなければならず、保護者も子どもが学生になっても自分の奨学金を返しているなどというケースも珍しくありません。
日本の教育予算はOECD加盟国の平均以下であり、大幅な引き上げが必要です。大学までの教育費の無償化に向け、大学・短大・専門学校の授業料を国の責任でただちに半額にし、無償化を計画的にすすめます。他の先進国にはない入学金制度をなくします。奨学金は給付制を中心にするよう改め、貸与奨学金の返済を半額に減らします。
6)近年の政治資金をめぐる問題を受け、政治資金規正法の改正についてどのような姿勢で臨みますか。特に、企業・団体献金の是非について具体的にお聞かせください。
企業・団体献金は、政治資金パーティー券の企業・団体による購入とともに、ただちにきっぱり全面禁止すべきです。企業・団体献金は国民本位の民主政治と両立しません。これまで多くの財界人が認めてきたように、「企業が献金をするのは、政治に見返りを期待するから」です。企業・団体によるばく大な献金によって、政治・政策が大きな影響を受けることは、主権者国民の参政権が侵害することになります。
7)憲法改正について、どのような立場をとられますか。改正に賛成の場合、改正の対象とする条項についてお聞かせください
憲法「改正」なかでも9条の改憲には絶対反対です。政治・経済を運営するうえで、現行憲法に何の不都合もありません。それどころか、平和、民主主義、国民のくらし・福祉、ジェンダー平等など国民生活のどれをとっても、憲法の精神が十分生かされていないことが大きな問題です。
平和の問題では、9条の精神を踏みにじって〝軍事には軍事で対抗〟することだけが強調され、従来、憲法で禁止されてきた集団的自衛権の行使や敵基地攻撃を容認するようになりました。いま必要なことは、9条にもとづく平和外交に全力を傾注することです。
8)選択的夫婦別姓制度について、どのような立場をとられますか。導入に賛成ですか、反対ですか。その理由とともにお聞かせください。
選択的夫婦別姓制度はただちに導入すべきです。法務省の法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓制度を導入すべきだとの答申を発表しています。ところが、それからほぼ30年ちかくたった現在でも、実現していません。それは、戦前の家父長制を信奉する自民党などごく一部の政治家が反対し妨害しているためです。世論調査でも国民の圧倒的多数は選択的夫婦別姓制度に賛成しており、個人の尊厳とジェンダー平等にかかわる問題としても、ただちに実現・導入すべきです。
9)今回の選挙戦で特に注力している選挙施策があれば教えてください。
SNSの活用です。主権者である国民が、お互いに情報を共有し、連帯しあいながら社会進歩の活動を進めていくうえでSNSは不可欠の手段と考えています。選挙運動に能動的に参加するツールとしての役割も増しています。公約や主張の発信、候補者の街頭演説などの配信、候補者の活動予定や候補者の人となりがわかるコンテンツを積極的に発信していきます。